2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23830096
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
田中 智徳 中部大学, 経営情報学部, 助教 (70610749)
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Keywords | 監査 / 不正 |
Research Abstract |
本研究の目的は、財務諸表監査の主たる目的ではなく、副次的な目的として捉えられている不正の発見または摘発に焦点を当てることで、財務諸表監査と不正監査を統合した監査の実現に向けての提案を示すとともに、そのような監査における課題を明らかにすることである。特に、従来の監査ではあまり取り入れられてこなかった不正調査方法の検討や、犯罪を犯すのは財務諸表ではなく人間であるとの認識のもと、心理学や犯罪心理学等の学問領域の考え方を応用すること、さらには、ホワイトカラー犯罪の特質を明らかにすることで、新たな監査技術と監査意識の提唱を試みるものである。 上記の目的を達成するために、本年度は、新たな監査技術や監査意識を提唱するための基礎を得ることを目的とした。具体的には、財務諸表監査において不正を発見または摘発するための対応について整理、検討を行うために、わが国および米国における監査や不正調査、心理学、犯罪心理学、ホワイトカラー犯罪等に関する文献研究を行った。また、監査基準や不正に関する実務指針における不正への対応と不正調査における不正への対応の整理、検討を行った。 現在の不正に関する監査の基準においては、不正リスク要因として、いわゆる不正のトライアングルの考え方が広く受け入れられている。しかし最近では、不正のトライアングルを深化させたモデルが提唱されてきており、また、不正リスク要因に関する実証研究や調査も実施されてきていることから、不正に関する監査の基準は、不正の発見や摘発に関する有効性を高めるために、十分な検討や見直しが行われるべきであると思われた。さらには、不正調査における不正への対応の整理、検討より、不正調査における不正への対応を財務諸表監査に取り入れること、例えば、不正リスク要因の評価、利用方法やインタビュー方法を取り入れることは有用であり、導入すべき点があるように思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心理学や犯罪心理学の見地からの整理、検討が充分に実施できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
心理学や犯罪心理学の見地からの整理、検討を実施するとともに、本年度整理した事項を基に、監査人が不正を発見するために有効および利用可能と考えられる新たな監査技術や監査意識の提唱を目指す。そして、実際の監査においてそれらが有効および利用可能かについて検証するために、アンケート調査の実施を予定している。
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Research Products
(1 results)