2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業のペイアウト政策にコーポレート・ガバナンスが与える影響
Project/Area Number |
23830097
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
佐々木 寿記 名古屋商科大学, 商学部, 講師 (10609738)
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Keywords | ペイアウト政策 / コーポレート・ガバナンス / 配当 / 自社株買い / エージェンシー問題 |
Research Abstract |
本研究では、ペイアウト政策とコーポレート・ガバナンスの関係を実証的に検証することを主目的としている。また、研究実施計画では、H23年度は主に財務データやガバナンスデータの収集と加工と、コーポレート・ガバナンスが企業価値に与える影響についての研究に時間を費やす予定であった。そして、そこでの研究結果を踏まえて、H24年度はペイアウト政策とコーポレート・ガバナンスが与える影響について本格的な分析に入ることを予定していた。 H23年度中に、現実にあげることができた成果について述べると、データの収集と加工はほぼ完了している。しかし、コーポレート・ガバナンスが企業価値に与える影響については、分析を行わないことにした。その理由についてであるが、コーポレート・ガバナンスと企業価値に関する研究が近年、多く報告されるようになり、H24年度からの分析に必要だった示唆や証拠が十分に得られたことなどが挙げられる。 なお、いまだ出版や報告には至っていないものの、ペイアウト政策とコーポレート・ガバナンス(特に株主構成)の関係に注目した論文を2本ほど執筆中である。1本はペイアウト政策と企業のライフサイクルに注目した論文であり、その中で株主構成の違いがどのように影響してくるのかを検証している。すでに執筆は終了しており、本年度中の出版をめざし、他の共著者の原稿が完成するのを待つ状態となっている。2本目は配当と労働者の賃金関係に注目した論文であり、ここでも従業員寄りと株主寄りのガバナンス構造の違いがペイアウト政策にもたらす影響を検証中である。こちらは秋に国内の学会で発表予定となっている。どちらの論文も、今までの論文にはない視点からの検証が含まれており、大きな貢献と意義を持つと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すべてが当初の予定通りに進んでいるとは言えないが、もともとH23年度には外部に報告できるだけの成果を上げる予定はなかったことや、H24度中には何らかの研究成果を発表できる見通しがついたという点から以上のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は秋の学会に備え、配当と賃金、コーポレート・ガバナンスの関係に着目した論文の分析・執筆作業を進める予定である、もう一本の論文については、他の研究者を待っている状態のため、現状、特に行動を起こす予定はない。
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