2011 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者を触法行為に向かわせる社会構造-ライフストーリー研究の手法から-
Project/Area Number |
23830101
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山村 りつ 同志社大学, 高等研究教育機構, 助教 (80609529)
|
Keywords | 精神障害者 / 触法行為 / ライフストーリー / 当事者調査 |
Research Abstract |
23年度の研究では、主に先行研究のレビューおよび実際の調査に向けた準備を行ってきた。 先行研究レビューについては、(1)精神障害者の触法行為についての実態および法制度上の位置、関連する議論、(2)精神障害者の触法行為に対するケア、(3)ライフストーリー研究の手法の3点からレビューを行った。これらのうち、(1)および(2)については順次、論文の投稿の準備を進めている。また、以上のレビューを踏まえ、実際のインタビューの質問項目および具体的な方法を計画し、プレ調査を行って本調査の体制を整えた。 ただし、本来の計画では23年度中にインタビューまでを終わらせる予定であったが、対象者の同意確認、調査方法に関する合理形成および日程調整等に手間取り、現在のところ、インタビューが完了していない状況にある。今後、早急にインタビューを実施し、本来の研究計画に追いつくことが必要といえる。 一方で、事後的な対策としてではない精神障害者の触法行為の予防という点について、これまでの研究および実践の動向、関連する概念・議論についての整理も行っている。このような視点からの研究は、精神障害者の地域生活を考える上で非常に重要なものであるにも関わらず、さまざまな課題を背景として、これまで直面化が忌避されてきたものである。その点に光を当て、触法行為の予防という点からの研究の必要性と同時に困難性を明らかにし、その文化的・歴史的・思想的背景を整理したことは、今後の研究に大きく貢献するものであるといえる。そのような、「精神障害者の触法行為の予防」というテーマの抱える複雑な問題についての理解を得たことにより、今後実施されるインタビュー調査が、より効果的なものとなることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査予定であった対象者の体調の急変等により、対象者の選定を再度行う必要がでたこと、倫理委員会等の助言により、調査方法について若干の修正と対象者の合意を得る必要性があり、調整が必要となっていること、また対象者の所属する機関の状況により年度末での日程調整が難しかったことなどが理由としてあげられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
倫理委員会の承認は得ているが、一部で調査方法ついての助言があったため、また対象者やテーマがセンシティブなものでもあり、調査方法について修正を行った上で再度倫理委員会の判断を仰ぐ必要があると考えられる。その手続きを早急に進め、同時並行で対象者の同意を得る形で、早急に調査を実施する。ただし、当事者に対するインタビュー調査という従来の研究計画を大きく変えるものではない。
|