2012 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカにおける住民主体型の河川管理に見る「人間と自然」調和の歴史
Project/Area Number |
23830109
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
伊澤 正興 阪南大学, 経済学部, 准教授 (40611942)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 河川史 / 排水堤防区 / 水土保全区 / ニューディール / 土壌保全局 / 陸軍工兵隊 |
Research Abstract |
本研究はイリノイ川氾濫流域における住民主体型の河川管理の事例に着目し,洪水からの地域復興と自然再生の取り組みについて明らかにするために,イリノイ州公文書館を中心に史料を収集し,その成果を取りまとめた。 史料の収集にあたっては,スプリングフィールドの州立公文書館,リンカーン大統領図書館,イリノイ州立図書館,シカゴ歴史協会で行い,排水堤防区の報告書,水土保全区の議事録・年次報告書,パンフレット,イリノイ州水資源員会の書簡・議事録・報告書,ミシシッピ川上流委員会の年次報告書,土壌保全局の年次報告書を収集することができた。 これらの史料によって明らかにされたことは,ニューディールの洪水対策法の成立にともない,イリノイ川氾濫流域では耕作地の拡大が停滞し,かわりに湿原の再生・土壌保全・レクリエーションおよび自然保護啓発活動,森林管理など新たな河川管理が根付いていったことである。しかし,その一方で,氾濫流域では,耕作地拡大を願う農家と自然保護を推し進める住民との間の対立が白日のものとなり,流域社会の分断が確認された。こうした問題を調整する機関として,イリノイ州水資源委員会が発足し,州内部での「自然と開発の調和」を実現すべく,総合的な州水計画を策定していった。 さらに,こうした取り組みは,1970年以降,ミシシッピ川上流域の河川管理を代表する計画となり,連邦政府において対立関係にあった陸軍工兵隊と農務省の権限調整を行う州際委員会が発足するに至った。 以上の成果は,すべてアメリカ学会およびアメリカ経済史学会報告となり,アメリカ河川史の研究上の空白を埋める成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)