2011 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける多機関連携を基盤とするキャリア教育モデルの比較研究
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23830120
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Research Institution | Koriyama Women's Junior College |
Principal Investigator |
京免 徹雄 郡山女子大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (30611925)
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Keywords | 教育学 / キャリア教育 / 比較教育学 / フランス |
Research Abstract |
第1に、本研究で調査する進路指導関連機関の歴史、規模、役割、業務、評価に関して、当該機関の刊行物、ウェブサイト、政府報告書などの文献を通じて理解し、インタビュー内容を決定した。 第2に、現地の研究者とコンタクトをとり、実地調査の準備を進めた。当初、パリを中心に調査を行う予定であったが、トゥール大学区への受け入れが認められたので、調査地を変更した。 第3に、フランスでの実地調査を行った。3月13日はパリ郊外のボンディ(Bondy)にあるミッション・ローカル(Mission Locale)を訪問した。同地区は大部分の家庭が経済的困難を抱えおり、何の資格も取得せずに離学した若者が支援機関を利用している。活動内容、他機関との連携の在り方等について尋ね、さらに個別職業指導行程(POPI)というプログラムを参観した。これは(1)キャリアカウンセラーとの面談を通して自己理解を深めて興味のある職業を発見し、(2)関連企業で2週間~12週間の研修を積み、(3)進路ストラテジーを構築するというステップで構成される。 3月15日~16日はオルレアン大学情報・進路指導局(SAIO)で短期研修を受けた。SAIOの役割について説明を受けた後、高校の進路指導を担当している進路指導・情報センター(CIO)、大学情報・進路指導局(SUIO)を訪問した。SUIOは(1)各大学に帰属するのではなく国家の公役務(servive public)として運営されていること、(2)オープンキャンパスなど高校生受け入れの企画を担うことなどが我が国と異なっていた。 また、国立教育・職業情報局(ONISEP)の支部を訪問し、2008年に導入された「職業と教育制度の発見行程」(PDMF)の実施状況を調べた。「進路指導・教育パスポート」(相互交流型ポートフォリオ)を作成するWebclasseurが本格運用されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実地調査において、当初予定していた機関をほぼ訪問することができ、インタビューを行うことができた。2年目に訪問予定の機関を含めて幅広く調査ができた反面、滞在日数が5日間と短かったため、各対象のサンプル数は少なくなってしまった。しかし、本研究は量的ではなく質的研究であるので、「多機関連携ネットワークの全体像を描き出す」という目的を達成するために、大きな支障はないと考える。今後、インタビュー内容を聞き起こし、各機関の連携の実態を明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った実地調査で予定していたほぼ全ての機関を訪問できたため、その結果を分析して、学会発表および研究論文執筆を行う。また、その過程でさらなる調査が必要であれば、渡仏し、サンプル数の増加に努める。さらに前年度調査で、2009年に「生涯進路指導」に関する法律が制定され、各機関同士の位置付けと関係が整理されたことが明らかになった。同時に、各機関の提供するサービスの質保証が強化されたようである。したがって、この法律および関係法令を翻訳することで、多機関連携の新展開を解明する必要性が生じた。こうした最新動向をふまえた上で、進路保障の一端を担う包括的なキャリア教育モデルを考案したい。
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Research Products
(10 results)