2012 Fiscal Year Annual Research Report
銀行預金市場の地域別市場分断と銀行合併の影響に関する実証分析
Project/Area Number |
23830126
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
内野 泰助 大東文化大学, 経済学部, 講師 (60612918)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 銀行預金市場 / 地域金融機関 / 地域別市場分断 / 銀行合併 / 資本市場 / 適債基準 |
Research Abstract |
平成24年度においては、3点の研究成果を独立行政法人経済産業研究所のディスカッションペーパーとして公表した。 一点目は、銀行預金市場の地域別分断に関する研究であり、日本における地方銀行の市場金利から預金金利へのパススルー率を推定した上で、寡占的な県ほどパススルー率が有意に低くなることを示し、日本における銀行預金市場が県別に分断されていることを実証的に明らかにした。これは2000年代に生じた地域金融機関の合併・統合が、寡占化を通じて預金者や債務者に負の影響を及ぼしたことを示唆している。 二点目は、日本における2000年代の都市銀行の合併に注目したものである。本研究では合併行と取引のある中小企業の金利が合併後に有意に上昇していることを示し、銀行合併に負の側面があることを明らかにした。特に、合併する2つの銀行の両方と取引がある場合には、顕著な金利上昇がみられることが明らかになり、合併に伴う銀行サイドの交渉力の高まりが金利上昇を招いている可能性があることが明らかになった。 三点目は、資本市場からの競争圧力が銀行の金利設定行動に与える影響を分析したものである。本研究は、銀行合併による市場の寡占化や銀行・企業間の取引における交渉力の増大がもたらす弊害を念頭におき、それを緩和する上での資本市場の役割に注目したものである。具体的に、1980年代の金融自由化期に公開市場での社債発行に関する基準(適債基準)が段階的に緩和されたことに注目し、その情報を操作変数として利用することで、社債発行が企業の現預金保有量(借入に伴う拘束預金の代理変数)に与える影響を分析した。その結果、より強い銀行の交渉力に直面している企業ほど、社債発行によって実質的な銀行借入金利を低下させる可能性があることが明らかになった。この結果は、資本市場の活性化が銀行合併による弊害を緩和する上で有益であることを示唆するものとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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