2011 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋・北大西洋におけるジェットの十年スケール変動メカニズムの解明
Project/Area Number |
23840001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 克徳 北海道大学, 大学院・理学研究院, 特任助教 (50604815)
|
Keywords | 海洋物理・陸水学 / 気候変動 / 海洋ジェット / 大気海洋相互作用 / 十年変動 / メキシコ湾流 / 黒潮続流 |
Research Abstract |
北大西洋メキシコ湾流ジェットの力学について渦解像海洋大循環モデルの出力を用いて解析を行った.この数値モデルのメキシコ湾流の緯度の十年スケールの変動は観測された変動とよく一致し,このメキシコ湾流の緯度の南北移動は北大西洋中央部の風の場の変動によるエクマン収束で励起されていることを明らかにした.さらに風により励起された風成循環の変動は,メキシコ湾流ジェットの軸に沿って西方へとロスビー波として2年かけて伝播することを示した.このジェット軸を導波管として西方伝播するメカニズムは,申請者が過去に提案したthin-jet理論でよく説明できる.また,このメキシコ湾流の南北移動に伴う海洋内部の熱輸送の変化により,メキシコ湾流域の海表面水温に顕著な変化が生じることを示した.同様に海洋中規模渦の分布にも顕著な変化が見られる. 過去の研究ではメキシコ湾流緯度の変動は熱塩循環の変動に起因するとされていたが,本研究により風成循環変動の重要性が示された.この結果は,メキシコ湾流域における大気海洋相互作用系において新しい因果関係を提示し,北アメリカ・ヨーロッパ域の気候変動について海洋力学の重要性を示唆するものである.これらの結果についてはOcean Modelling誌に投稿した論文は受理され,出版済みである.また平成24年度に実施予定であった北太平洋黒潮続流ジェットの力学についても,衛星観測データを用いて解析を開始している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
メキシコ湾流ジェットについての論文が受理・出版され,また平成24年度に実施予定である黒潮続流ジェットの研究をまとめた論文についても年度のはじめに投稿できる予定であるため,当初の計画以上に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
黒潮続流ジェットの変動力学について,衛星観測データを用いた解析を引き続き行う.最新の変動について知るため使用する衛星データの更新を随時行う.また得られた成果について国際学会での発表を行い,国際誌へ投稿する.
|