2011 Fiscal Year Annual Research Report
Skyrme-QRPAを用いた二重ベータ崩壊の遷移行列要素の計算
Project/Area Number |
23840005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺崎 順 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50616430)
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Keywords | 原子核 / 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / QRPA |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、ニュートリノの質量を決定するために必要な情報のひとつである原子核のニュートリノレス二重ベータ崩壊の遷移行列要素をQRPAを用いて求めることである。ニュートリノの質量は、素粒子物理の発展に大きな影響を与える重要な物理量のひとつである。QRPAとは原子核の主に励起状態を研究するためによく用いられている近似方法のひとつである。 その遷移行列要素は、遷移の二種類の中間状態を遷移の始状態と終状態に基づいてQRPAによって求めること、遷移の始状態から中間状態へと終状態から別の中間状態への遷移行列要素を求めること、そして、二種類の中間状態の重複を求めることの三つの部分で構成される。QRPA計算の準備はすでにできている。 平成23年度10月の交付以来、研究代表者寺崎は、二種類の中間状態の重複計算方法とプログラムの開発を行い、現在開発とテスト計算を終えてこのことに関する論文を執筆中である。この計算に関しては、当初先行して行われている他の研究者の方法を用いればよいと考えていたが、その方法を詳細に検討した結果、ニュートリノ質量の重要性を考えるともっと精密な計算を行うべきであるという結論に達し、新たな計算方法の開発から行った。その特徴は、QRPAの状態波動関数をあらわに用いて、多粒子間の力学的相関をできるだけ取り入れようとすることである。その計算は相当に複雑であり、高度に並列化されたプログラムの開発が必要であった。プログラムの開発の後、寺崎は比較的軽い原子核でのテスト計算を精力的に行い、複雑な式の中のどの項が重要であるか、何に注意して計算をする必要があるかなど、本課題の遂行にとって必要な情報を多く取得した。以上が現在までの研究実績と成果であり、すでに2,3の口頭発表を通じて国内外の研究者と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異なる中間状態の重複を精密に行うため、既存の方法よりも進んだ計算方法と複雑なプログラムの開発が必要であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は数値計算を精力的に行うべき段階に来ている。このため、すでに筑波大学計算科学研究科学センター学際共同利用による大規模計算のためのコンピュータアカウントを取得した。また、使える資源は限られるが、京都大学基礎物理学研究所と大阪大学核物理研究センターのスーパーコンピュータのアカウントも取得済みである。さらに東京大学の新しいスーパーコンピュータの利用も検討中である。これらの計算機資源を駆使して、予定の計算を実行する。
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Research Products
(1 results)