2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23840009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 靖啓 東京大学, 物性研究所, 助教 (20609937)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 超格子 / 相互作用 / f電子 |
Research Abstract |
24年度は、2つの理論的動機から相互作用のある超格子の研究を行った。1つ目の動機となる先行研究は、トポロジカル絶縁体を用いた超格子においてワイルフェルミオンが出現する新しい量子相の発見であり、2つ目はf電子系におけるトポロジカル絶縁体の可能性の指摘である。実験的にもこれらを融合した状況が実現しつつある。本研究では、すでに実験的に実現されているCeIn3/LaIn3とCeCoIn5/YbCoIn5超格子を念頭に、f電子系超格子の研究を行った。まず、f電子系の基本的性質の一つである重い電子の形成とその性質について、昨年度に発展させた手法である非一様動的平均場を用いて解析を行った。その結果、超格子においては、3次元異方的な重い電子形成についてはエネルギースケールはただ1つしか存在しない一方で、その輸送特性については2-3次元クロスオーバーが見られることを明らかにした。本研究は重い電子系において次元クロスオーバーを明らかにした最初の研究であり、f電子系超格子を理解する上でも基本となる結果と考えられる。また次に、実験で見られている磁性や超伝導の性質を理解するために、揺らぎ交換近似を用いて研究を行った。その結果、3次元的な反強磁性スピン揺らぎのある系に超格子構造を導入すると、スピン揺らぎは強く抑えられる一方で、超伝導は非常に安定であることが分かった。このことは、よく知られているホッピング異方性をパラメータとした場合とは定性的に異なる新しい結果であり、超格子特有の現象と考えられる。さらに、動的平均場の結果を現象論的に導入することで、実験でみられている大きな上部臨界磁場を説明できることを示した。これらのf電子系超格子の解析は、今後、相互作用のあるトポロジカルな超格子を考える上で基本的な理解の枠組みを与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)