2011 Fiscal Year Annual Research Report
軌道秩序系における軌道秩序ドメイン壁励起の観測とそのダイナミクス解明
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23840010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤岡 淳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (80609488)
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Keywords | 物性実験 / 強相関電子系 / 強相関エレクトロニクス / 低温物性 / 軌道秩序 |
Research Abstract |
本年度はK2NiF4構造を持つ層状Mn酸化物R1-xAl+xMnO4を対象とし、軌道秩序ドメインのドメイン壁励起の観測を試みた。具体的にはまずNd1長-xSr1+xMnO4(x=0.67)の単結晶を合成し、0.1-100MHzの周波数領域における誘電スペクトルを測定した。単結晶作成に当たっては所属研究室で既に稼働している赤外線加熱単結晶作製装置を使用し、広帯域の誘電分散の測定には、所属研究室現有の誘電率測定装置群を使用した。0.1-100Hz,100Hz-1MHz,1MHz-100MHzの帯域でそれぞれ低周波インピーダンス測定システム、LCRメーター、高周波インピーダンスアナライザーを使用した。 実験の結果、ab面内の誘電率スペクトルが175K-100Kの温度領域で緩和型の分散を示す事がわかった。 この分散の起源として電荷・軌道密度波のドメイン境界の励起が考えられる。分散構造の中心周波数は200K以上で1GHz以上となり、電荷・軌道密度波の転移温度(約260K)での振る舞いを現有の高周波インピーダンスアナライザーで追跡することができなかった。転移温度付近での振る舞いを見るためには転移温度が低い系を合成して測定をする必要がある。 次に、秩序相における電流雑音測定を行った。測定には現有のインピーダンスアナライザとクライオスタットを用いた。現状では、転移温度以下において大きく電流雑音が増大する振る舞いは見られず、密度波のスライディング現象の直接的な証拠を得ることには成功していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度分については試料合成や測定技術についてほぼノウハウを確立することができたため、円滑に研究を進めることができた。電荷・軌道密度波に起因した電流雑音が未だはっきり観測できていない点については外因性の雑音を排除することや、よりスライディングを起こしやすい系を模索する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度はペロフスカイト型バナジウム酸化物を対象とし、軌道秩序ドメインの励起とスピン秩序の結合について誘電スペクトロスコピーによって調べる。試料合成については23年度と同様、フローティングゾーン法による単結晶合成を行う。誘電率の測定についても23年度と同様、インピーダンスアナライザ、LCRメータなどを使用する。
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[Journal Article] Displacement-Type Ferroelectricity with Off-Center Magnetic Ions in Perovskite Sr_<1-x>Ba_xMnO_32011
Author(s)
H.Sakai, J.Fujioka, T.Fukuda, D.Okuyama, D.Hashizume, F.Kagawa, H.Nakao, Y.Murakami, T.Arima, A.Q.R.Baron, Y.Taguchi, Y.Tokura
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Journal Title
PHYSICAL REVIEW LETTERS
Volume: 107
Pages: 137601-1-5
DOI
Peer Reviewed
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