2012 Fiscal Year Annual Research Report
軌道秩序系における軌道秩序ドメイン壁励起の観測とそのダイナミクス解明
Project/Area Number |
23840010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤岡 淳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80609488)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 物性実験 / 強相関電子系 / 強相関エレクトロニクス / 低温物性 / 軌道秩序 |
Research Abstract |
本年度はペロブスカイト型バナジウム酸化物RVO3を対象とし、軌道秩序ドメインのドメイン壁励起の観測を試みた。本系は軌道秩序がKugel-Khomskii型の交換相互作用によってスピン自由度と強く結合しているため、スピン秩序との結合に着目した。フローティングゾーン法によってEuVO3の単結晶を合成し、0.1-100MHzの周波数領域における誘電スペクトルを測定した。単結晶作成に当たっては所属研究室で既に稼働している赤外線加熱単結晶作製装置を使用し、広帯域の誘電分散の測定には、所属研究室現有の誘電率測定装置群を使用した。0.1-100Hz, 100Hz-1MHz, 1MHz-100MHzの帯域でそれぞれ低周波インピーダンス測定システム、LCRメーター、高周波インピーダンスアナライザーを使用した。 実験の結果、100K以下のC型磁気秩序・G型軌道秩序相において印加電場がc軸を向いている場合に誘電率が増大する様子が見られた。0.1Hz-1MHzの広帯域誘電率スペクトルを測定した所、緩和型の分散が見られた。デバイモデルで解析した所活性化エネルギーが31meV程度であることが分かった。他方、印加電場がc軸と垂直の場合には顕著な誘電分散が見られなかった。C型磁気秩序・G型軌道秩序相においては異方性が小さい結晶構造であるにも関わらず、c軸に擬1次元的な交換相互作用が生じる事が知られている。この点と分散の活性化エネルギーのスケールが軌道秩序の転移温度と同程度であることからここでみられた分散の起源は交換相互作用の異方性を強く反映した軌道秩序ドメイン壁の励起である可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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