2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23840014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 歩 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 東京工業大学特別研究員 (10610149)
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Keywords | トポロジー / 絡み目 / カンドル / 絡み目ホモトピー |
Research Abstract |
絡み目ホモトピーとは絡み目のある同値関係である.絡み目ホモトピー類に対しては簡約結び目カンドルが定まる.しかしカンドルの同型性判定は難しく,簡約結び目カンドル自身を絡み目ホモトビ一類の分類に用いることは得策ではない.絡み目ホモトピー類の分類にカンドル理論を活用するためには,まず簡約結び目カンドルから計算・比較が容易な絡み目ホモトピー不変量を構成する必要がある. 研究代表者はカンドルに準自明性を定義し,これが簡約結び目カンドルからの非自明な準同型を許容するカンドルに求められる条件であることを示した.また準自明カンドルに対して(従来のカンドルホモロジーの商である)準自明カンドルホモロジーを定義し,これを利用して絡み目ホモトピーで不変なカンドルコサイクル不変量を構成した.この不変量は簡約結び目カンドルから準自明カンドルへの準同型が定める(準自明カンドルホモロジーの)基本類をコサイクルで評価して得られるものであり,計算・比較が容易な数値型不変量である. 数値型の絡み目ホモトピー不変量は,これまでMilnor不変量以外に知られていなかった.今回構成したカンドルコサイクル不変量は準自明カンドルとそのコサイクルを指定することに定まるため,我々は大量の数値型不変量を手に入れたことになる.次年度ではこの不変量の分類能力について研究を進める予定である.また準自明カンドルホモロジーの理論は「簡約結び目カンドルが絡み目ホモトピー類を完全に分類する」という予想の解決にも役立つと思われる.次年度ではこの予想の解決にも挑戦したい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主課題とした「簡約結び目カンドルが絡み目ホモトピー類を完全に分類する」という予想の解決には至らなかったが,研究手法を確立することができたため.また次年度の主課題とした計算可能な不変量の構成とその能力の研究に先行して取り組み,不変量を構成できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に構成した不変量の分類能力を研究するためには,まず簡約結び目カンドルの分類能力を知る必要がある.そのため,まず「簡約結び目カンドルが絡み目ホモトピー類を完全に分類する」という予想の解決に取り組む.
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