2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能原子核乾板による暗黒物質探索実験プロジェクトの推進
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23840018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中 竜大 名古屋大学, 高等研究院, 特任助教 (00608888)
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Keywords | 暗黒物質 / 原子核乾板 / 方向性検出 |
Research Abstract |
本研究は、自然科学における最重要課題の一つに挙げられる暗黒物質の直接検出において、方向に感度を持つ新たな検出器である原子核乾板を用いた探索実験の推進である。特に、本研究計画は、これまで研究代表者が開発してきた技術を実用化すると同時に、中心となってプロジェクトチームを編成し、その実用化を目指していくことに重点を置いた。 当該年度において、名古屋大学を中心としたプロジェクトとして、研究代表者を含め5人の実行部隊と外部の研究者をテクニカルアドバイザーとしたチームを編成すると同時に、国際共同実験として、イタリアの研究グループ(ナポリ大、パドバ大、LNGS)とのコラボレーションも開始した。 この中で、暗黒物質のシグナルとなる飛跡を検出するための自動光学顕微鏡のプロトタイプを開発し、自動飛跡認識を可能にした。同時に、光学顕微鏡で選別された飛跡をX線顕微鏡で詳細に分析する一連のシステムを構築し、初めて読み取り効率を詳細に評価し、検出器の分解能ぎりぎりの飛跡も60%以上の効率で読みだすことができることを示すことができた。また、イタリアにおいても読み取りシステムの構築がスタートし、今後、互いのシステムをクロスチェックしつつ、アップグレードを図っていく。 検出器そのものの開発も同時に推進し、合成ポリマーを検出器に用いることで、ハロゲン化銀結晶サイズを30nm以下で非常に安定に製造することが可能であるころが示され、今後の感度コントロールで、検出効率を向上させると同時に、プロトタイプ検出器の作成方法の検討の段階に移ることができた。 実際の実験環境として、イタリアのグランサッソ地下研究所でのファシリティ整備もスタートし、テスト実験の準備をスタートすることができた。 次年度において、検出器の作成から解析までのルーチンの確立と検出感度の詳細評価、シミュレーションの最適化を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトとして、チームを編成し、それぞれのパートで実用化に向けた開発が進んでいると同時に、国際共同としてコラボレーションが広がり、シミュレーションなどの開発も進んできたから。また、地下のR&D用ファシリティの建設もスタートすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
検出器の感度を詳細に評価するために、核融合反応からの単色中性子を用いたキャリブレーションを行う。このためのシミュレーションの最適化を並行して進めていく。また、読み取りシステムにおける光学系のファインチューニングを行い、数gから10g程度のプロトタイプ検出器の読み出しを可能にする。 グランサッソ研究所におけるファシリティにおいて、検出器作成を可能にし、初期テストとして、環境中性子測定のためのテスト実験をスタートさせる。
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