2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23840020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船野 敬 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40614144)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | ラプラシアン / 測度の集中 / リーマン多様体 / 多様体の収束 |
Research Abstract |
平成24年度は塩谷隆氏との共同研究で非負リッチ曲率を持つ閉リーマン多様体上のラプラシアンの固有値の間の次元普遍不等式を得た。特に非負リッチ曲率を持つ閉リーマン多様体上では第k固有値は第1固有値にkだけに寄る定数をかけた値で上から押えられることがわかった。また同時に非負リッチ曲率の仮定は外せない例も構成した。この定理を証明する際に我々はグロモフが導入したobservable距離に関する測度距離空間の収束理論を用いた。この距離に関する収束理論は測度の集中現象と従来のグロモフハウスドルフ収束を両方拡張したものである。従来の収束理論では空間のどのような幾何学的構造、解析的構造がある距離に関する収束のもとで保たれるのかが問題とされてきた。リッチ曲率の下限がないとobservable距離に関する弧長空間の極限でも連結になるとは限らないが、我々はこの距離の収束に関して曲率次元条件CD(K,∞)が保たれる、特に極限が連結になることを証明した。 曲率次元条件CD(K,∞)はリーマン多様体上ではリッチ曲率が下からKで押さえられていることと同値となる。上述の曲率次元条件の安定性定理は、Lott-Villani, Sturmの測度付グロモフハウスドルフ収束に関する曲率次元条件の安定性の一部を拡張したものとなっている。ラプラシアンの第k固有値が無限大に発散するような多様体の列はobsevable距離に関してk点以下からなる空間に収束するが、上記安定性結果から曲率次元条件の下では極限は1点となる。極限が1点の非負リッチ曲率を持つ多様体の列の第1固有値は無限大に発散することが知られているので次元普遍不等式を得る。これらの結果を論文としてまとめ投稿し、雑誌Geometric and Functional Analysisに掲載が決定された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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