2011 Fiscal Year Annual Research Report
多次元ニュートリノ輻射輸送計算と超新星の爆発メカニズム
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23840023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諏訪 雄大 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (40610811)
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Keywords | 超新星爆発 / 輻射輸送 / 数値シミュレーション / ニュートリノ / ガンマ線バースト |
Research Abstract |
本年度は、重力崩壊型超新星爆発の標準シナリオであるニュートリノ駆動型爆発における不定性について調べた。まずは、ニュートリノ集団振動によって誘起されるというニュートリノフレーバーの変換によってニュートリノ加熱効率がどの程度増幅されるのかを、幅広いパラメータ領域で系統的にシミュレーションを行うことで明らかにした。その結果、ある程度以上にミューニュートリノやタウニュートリノの平均エネルギーと光度が大きい場合には、観測を説明できるほど十分強い爆発を起こすことが可能であることが分かった。また、爆発の結果残される残骸である中性子星の質量も観測されている値とおおよそ一致するものが得られた。次に、物質の圧力やニュートリノ素反応を記述する上で重要な役割を果たす核物質の状態方程式の及ぼす影響について調べた。現在、超新星爆発シミュレーションに用いることの出来る状態方程式は大まかに4種類ある。(この1-2年でさらに増えたが、これらについてはまだシミュレーション用に完全に整備されているとは言えない。)この全てについて1次元、2次元のシミュレーションを行い、衝撃波の発展を長時間に渡って計算した。その結果、核物質を記述する非圧縮度パラメータは超新星爆発に大きな影響は及ぼさないことが分かった。さらに、これまでは計算コストが高すぎて実行できなかった3次元シミュレーションを実行できるようになった。これによって、流体の新たな自由度が爆発に対してどの程度の影響を及ぼしうるのかを調べる準備ができたと言える。 また、超新星爆発と関連のある天体現象としてガンマ線バーストがあるが、その物理過程についての研究も行った。具体的には星の内部でのジェットの伝搬を計算して、どのような天体であればガンマ線バーストを起こすのに適しているのかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は論文3本を出版し、さらに1本が受理され2本が投稿中である。概ね順調に進んでいると言える。申請時に想定していたペースの通り結果をまとめることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も逐次シミュレーションを実行し、その解析を実行する。すでに計算コードは安定に動いているので、問題なく進行できると考えている。
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Research Products
(17 results)