2011 Fiscal Year Annual Research Report
多重拘束マルチモーメント概念に基づくブラゾフコードの再構築と多階層乱流構造の解明
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23840025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今寺 賢志 京都大学, エネルギー科学研究所, 助教 (90607839)
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Keywords | プラズマ・核融合 / ジャイロ運動論 / Vlasovシミュレーション / 乱流輸送 / 階層間相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多重拘束マルチモーメント(MM)概念に基づいてジャイロ運動論的Vlasovコードを再構築し、外部からのエネルギーの入出力を含む核融合プラズマの多階層乱流シミュレーションをこれまでにない高精度で実現することで、核融合シミュレーション研究の新たな展開を切り開くことである。そのために本年度はまず、実空間2次元移流、および位相空間2次元Vlasovシミュレーションを行い、MM法の数値計算特性の検証を行った。その結果、従来の手法と比較してMM法は数値エントロピーの増加を抑制することを示し、微細構造のダイナミックスを長時間にわたって解析する上で有効な手法であることを明らかにした。次に、そのコードにsource/sinkモデルを導入することで開放系に拡張し、非局所的な輸送現象や温度分布の硬直化現象を解析した(テーマB)。その結果、帯状流のエネルギー配分率の低下が温度分布の硬直化の-因であることを明らかにした。原因としては、帯状流の励起される特性時間と比較して、輸送が半径方向に伝播する時間が早い可能性が考えられる。さらにMHD-イオン系乱流間の多階層非線形相互作用を主に線形領域を中心に解析し(テーマC)、流体シミュレーションで行われた同様の先行研究と比較して、イオン系乱流の成長率が磁気島の幅の変化に大きく依存しないことを明らかにした。これは、流体シミュレーションでは低波数において散逸による安定化が起きるのに対して、運動論シミュレーションでは低波数でも不安定であることに起因していると考えられる。以上のように本年度は、MM法の数値計算特性の検証を行い、テーマB、テーマCそれぞれにおいて比較的簡単な系での解析を行うことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、MM法の数値計算特性の検証を行ったのち、研究計画にある(B)開放系核融合プラズマ中の温度分布緩和現象とエントロピーダイナミックスの解明、(C)MHD-イオン系乱流間の多階層非線形相互作用の解明、のそれぞれのテーマに対して、前者はスラブ配位における非局所熱輸送現象と帯状流の関係を、後者は線形領域における流体シミュレーションの結果との違いを明らかにすることに成功した。これは、概ね当初の研究計画に沿ったものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマBについてはトロイダル配位への拡張を、テーマCについては非線形領域への拡張を行う予定であり、本年度行った簡単な系との逐次比較を行うことでその妥当性を十分に検証し、着実に研究を推進する予定である。また、京都大学学術情報メディアセンターから並列指向型Poisson solverの提供を既に受けており、上記の作業と並行して、その実装を行っていく予定である。
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