2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23840026
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢口 義朗 広島大学, 大学院・理学研究科, 特任助教 (90613018)
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Keywords | ブレイド群 / Hurwitz作用 / 曲面ブレイド / 曲面絡み目 |
Research Abstract |
n次ブレイド群は,任意の群のn個の直積へHurwitz作用という自然な作用を与えます。群の直積の2つの元がHurwitz作用で移りあうとき,それらはHurwitz同値であるといいます。ブレイド群の直積(のある部分集合)におけるHurwitz同値類の集合と,曲面ブレイドという4次元内の曲面(2次元絡み目理論と関係が深い)の同値類の集合の間には全単射が存在することが知られていますが,Hurwitz作用の計算は複雑であり,曲面ブレイドの完全な分類は未解決です。 本研究の目的は,ブレイドの直積におけるHurwitz作用を解析することで,曲面ブレイドの分類や不変量の構成への応用を考えることです。また,曲面ブレイドの研究結果を,曲面絡み目での研究結果へ繋げることが目的です。 本年は,ブレイド群の直積へのHurwitz作用による軌道分解の問題へのアプローチとして,ブレイド群からの準同型を持つ,対称群と整数環上の自由加群との半直積を考え,その群の直積のHurwitz同値類を決定しました(論文執筆中)。これにより,ブレイド状曲面の整数パラメーター付きの不変量を与えることができました。また,久野雄介氏(広島大学)との共同研究により,ブレイド群の第1 Jhonson準同型Jを,ブレイドのダイアグラムを用いて記述する方法を得ました(論文執筆中)。その結果,Jの像の直積をHurwitz同値で分類することで,曲面ブレイドの(整数不変量よりも強い)多項式不変量を得ることに気付きました。最近,部分的ではありますがJの像の直積における数々のHurwitz同値不変量を得ました(韓国や米国の学会において発表)。また,分岐点を4つ持つ全ての曲面ブレイドがリボンか否かという未解決問題に対して,多項式を使ったアプローチを与えることができました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称群と整数環上の自由加群との半直積の直積のHurwitz同値類を決定しました他,久野雄介氏(広島大学)との共同研究によるブレイド群のJhonson準同型の記述が,Hurwitz作用の研究に大きな進展を与えることを確信しました。実際に,ブレイド群の第1Jhonson準同型による像の直積におけるHurwitz同値類の不変量(多項式型不変量)を次々と得ることができました(韓国および米国の学会で発表)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究を踏まえて,今後は以下のことに取り組みます。 ●ブレイド群の第1Jhonson準同型による像の直積におけるHurwitz同値類を完全に決定する。 ●曲面ブレイドの多項式不変量を,曲面絡み目の不変量の構成へ繋げていくこと。 ●ブレイド群のJhonson準同型を,第1だけでなく一般の場合において,ダイアグラムで記述すること。また,同様にして,曲面ブレイドの不変量を構成し,曲面絡み目への応用を考える。 ●ブレイド群の直積の様々な元におけるHurwitz軌道を決定する。
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