2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23840033
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
室 裕司 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50385530)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 近藤半導体 / 反強磁性 / 元素置換効果 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
斜方晶CeT2Al10(T=Fe, Ru, Os)がいずれもCe4f電子と伝導電子との強い相関による擬ギャップを低温で形成し、さらにT=Ru, Osはそれぞれ27K, 28.5Kと、従来のCe化合物と比較して6倍高い温度で反強磁性転移を示す。この磁気転移について、Ce価数と構造の変化を引き金としたこれまでのCe化合物では見られない特異な磁気転移であることが強く示唆されている。本年度は、(1)RuおよびOsサイトをFeで置換した系の中性子散乱実験 および(2)AlサイトをGaまたはSiで置換することによる物性変化を調べ、以下の成果が得られた。 (1)Fe置換系の中性子散乱実験 CeRu2Al10の非弾性中性子散乱では、8meVの低エネルギー磁気励起が観測されており、この励起がCeRu2Al10の異常磁性に深く関連していると考えられている。そこでFe濃度を変えた置換系を作製し、磁気励起のFe濃度依存性を調べた。その結果、磁気励起がFe置換によって8meVと12meVに分裂し、後者は磁気転移が消失しても残ることがわかった。この結果は、磁気転移の消失が従来の近藤効果の増強によるものではないことを強く示唆している。 (2)AlサイトのGaおよびSi置換効果 CeRu2Al10に対して、Gaを8%まで、またSiを1%置換した試料を作製し、物性測定を行った。Ga置換では、単位胞体積の膨張によって近藤効果・擬ギャップ・磁気転移温度のいずれも抑制された。この結果から、特に相転移に対して、近藤効果が磁気転移温度の増強に重要な役割を担っていることを示す。一方Si置換では、僅か1%の置換で転移温度が4Kも減少し、CeRu2Al10とは異なる磁気構造をとることがわかった。SiはAlに比べて3p電子が1個多いので、CeRu2Al10の異常な反強磁性転移は、電子濃度の変化に非常に敏感であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Crystal-field ground state of the orthorhombic Kondo insulator CeRu2Al102012
Author(s)
F. Strigari, T. Willers, Y. Muro, K. Yutani, T.Takabatake, Z. Hu, Y.-Y. Chin, S. Agrestini, H. -J. Lin, C. T. Chen, A. Tanaka, M. W. Haverkort, L. H. Tjeng, A. Severing
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 86
Pages: 4
DOI
Peer Reviewed
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