2012 Fiscal Year Annual Research Report
光電子分光によるイッテルビウム系近藤物質の量子臨界現象に関する研究
Project/Area Number |
23840039
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大川 万里生 東京理科大学, 理学部, 助教 (50609302)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 光電子分光 / 重い電子系 / 量子臨界点 / 価数揺動 |
Research Abstract |
β-YbAlB4はYb系として発見された重い電子系超伝導体であり,従来の量子臨界現象の理論では説明できない特異な振る舞いを示すことから注目されている.さらに,結晶構造の異なるFermi液体金属α-YbAlB4においては,Al-Fe置換を行うことによりβ-YbAlB4と同様の量子臨界点および反強磁性相を起することが可能であり,つまり化学的に基底状態をFermi液体-量子臨界点-反強磁性と制御することができる.本課題では,電子分光・X線分光による電子構造測定を通して, Yb(Al,Fe)B4系の量子臨界現象の解明に繋がる成果を得ることが目的である. 本年度は,硬X線光電子分光を用いてα-Yb(Al,Fe)B4のYb 3d内殻準位の測定を行い,Yb価数のFeドープ量・温度依存性を明らかにした.その結果,量子臨界点近傍の組成の試料について,温度上昇に伴いYb価数が価数揺動状態から3価に近づく振る舞いが観測されたものの,40 Kから室温での価数変化はわずか0.02程度に過ぎないことがわかり,高い近藤温度を持つことが示唆される.さらに,50~100 Kの領域でYb価数の温度変化に異常が見られ,高い近藤温度とは異なるクロスオーバーがこの温度領域に存在する事が考えられる.また,反強磁性基底状態を示す組成においても,低温から室温に渡りYb価数2.8台という比較的大きい価数揺動状態を維持しており,遍歴性を示すYb 4f電子が磁気秩序の起源となっていることが強く示唆される結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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