2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23840040
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大城 佳奈子 日本女子大学, 理学部, 助教 (90609091)
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Keywords | カンドル / 曲面結び目 / 結び目 / handlebody-knot / Linear Alexander quandle / G-family of quandles / Minimal number of colors |
Research Abstract |
本研究の目的は,カンドルコサイクル不変量や対称カンドルコサイクル不変量について詳しく研究し、それらを使って曲面絡み目の性質を明らかにすることである.また,曲面絡み目に対する強力な不変量構成も試みる.Jones多項式やコバノブホモロジー群に相当する概念を曲面絡み目に導入できないか考える.本目的を達成するために,2011年度は以下のことを行った. 1.Minimal number of Fox-colorsの研究.(佐藤進氏との共同研究)曲面結び目のMinimal number of colorsとカンドルコサイクル不変量の関連性の研究を行い,次のような結果を得た:pを7以上の素数,Fをp-彩色可能な曲面結び目とする.Fのカンドルコサイクル不変量Φ_p(F)の要素0の数がちょうどp個であるとき,p=7ならばC_p(F)≧6,p≧11ならばC_p(F)≧7が成り立つ.ただし,Cp(F)でFのminimal number of colorsを表す.この結果を用いて,C_7(F)=6となる7-彩色可能な曲面結び目の構成も行った.以上の結果をプレプリントとして纏めた. 2.G-family of quandlesの研究.(石井氏,岩切氏,ジャン氏との共同研究)G-family of quandlesとは群Gによるカンドル演算の族を持つ集合であり,カンドルの一般化となるものである.G-familyofquandlesを用いると,handlebody-knot diagramに対する群表現で捩じられたカンドル彩色を与えることが出来る.また,コサイクル不変量も定義される.コサイクル不変量を用いることで,handlebody-knotのカイラリティーの研究を行った.この結果をプレプリントとして纏めた. 3.Linear Alxander quandleの研究(林忠一郎氏,林美和氏との共同研究)Linear Alxander quandleでのcolorabilityの研究を行った.また,twist knotが位数p(3≦p≦7)のあるカンドルで彩色可能であるための必要十分条件を計算し,プレプリントとして纏めた. 国内,海外の様々な研究集会で研究報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度はカンドルを用いて結び目,曲面結び目,空間グラフ,ハンドル体絡み目等,様々な対象の研究を行った.その過程で,カンドルの諸性質に関する幾つかのことが分かった.このことは本研究の目的達成に必要不可欠なことである.また,計10回の講演で研究報告を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
曲面絡み目を全体的に把握し,操作することは一般的には困難なことである.しかし,曲面絡み目の強力な不変量構成には,曲面絡み目の様々な性質を理解することが必要不可欠であり,時には全体を捉えることが重要となる.結び目カンドルや結び目群等を詳しく研究することで,曲面絡み目の補空間に関する何かしらの特徴付けが出来ないかを考えたい.また,曲面絡み目を表す新たな表示法についても考えたい. 同時に,カンドルの諸性質に関する研究も行う.バイカンドルやG-family of quandles等,カンドルを一般化する概念が幾つかあるが,それらを詳しく解析することで,古典絡み目,曲面絡み目,空間グラフ,ハンドル体絡み目の研究に良い影響を与えることが期待される.カンドルを使った様々な応用を考えたい.
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