2011 Fiscal Year Annual Research Report
Lotka-Volterra方程式を用いた構造化生態系モデルの数理的研究
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23840041
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
今 隆助 明治大学, 研究・知財戦略機構, 共同研究員 (10345811)
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Keywords | 数理物理学 / 非線形差分方程式 / 年齢構造 / Leslie行列 / Lotka-Volterra方程式 / 構造化生態系モデル / 構造化個体群モデル / 周期ゼミ |
Research Abstract |
Lotka-Volterra方程式のような古典的な生態系モデルでは各生物種の種内構造が無視されている.つまり,各生物種の空間分布や年齢分布などは無視されており,同一種の個体は全て同じ繁殖率を持ち,同じ死亡率を持つと仮定されている.この仮定は,容易に分かるように,多くの生物に対して当てはまらない.例えば昆虫であれば,同一種の個体であっても,成虫は繁殖するが卵・幼虫・蛹は繁殖しないためである.このように,これまで生物の個体数変動のパターンを説明するために研究されてきた生態系モデルの多くは,種内構造を無視しているため,種内構造が個体数変動に決定的な影響を及ぼす場合には現象の本質を捉えることが出来ない. そこで本研究では,年齢特異的な種間相互作用が生態系の安定性にどのような影響を及ぼすのかを数理モデルを用いて研究した.理論的な研究を展開するために,semelparousな生活史を持つ複数のLeslie行列モデルを結合させた結合Leslie行列モデルから出発した.このモデルは,Lotka-Volterra方程式によって近似できる. 当該年度は捕食者・被食者系を主に研究した.被食者はn個の齢クラスを持ち,捕食者はm個の齢クラスを持つとした。この種内構造を持つ捕食者・被食者系をn+m次元のLotka-Volterra方程式によって近似した.この方程式を線形化し解析することにより,nとmが互いに素であるか否が,2種の共存平衡点の安定性に強い影響を与えることが明らかとなった.nとmが互いに素であれば,年齢特異的な種間相互作用が系を不安定化することはないが,nとmが互いに素でないのであれば,年齢特異的な種間相互作用が系を不安定化することが明らかとなった.このことにより,種間相互作用だけを見ていても,種内相互作用だけを見ていても見えてこない現象の存在が浮き彫りになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画では,構造化生態系モデル,特に種内構造を持つ捕食者・被食者系の解析を計画通り実施し,新たな知見を得る等,これまでの目的は達成された.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得た種内構造を持つ捕食者・被食者系の解析結果を一般化する.そして,これまでの研究で得られた知見をもとに種内構造を持つ競争系の解析にとりかかる.
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