2011 Fiscal Year Annual Research Report
銀河系中心核星団の赤外線観測による、超大質量ブラックホール近傍の星形成過程の解明
Project/Area Number |
23840044
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
西山 正吾 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 研究員 (20377948)
|
Keywords | 赤外線天文学 / ブラックホール / 銀河系中心 / 星形成 |
Research Abstract |
近年の研究から、超巨大ブラックホール(SMBH)と銀河のバルジ成分だけでなく、中心核星団(NSC)も銀河の「共進化」の一員だということが分かってきた。本研究課題では、広視野の狭帯域赤外線分光撮像観測によって、銀河系のNSCとその周囲にある早期型星の空間分布を明らかにし、SMBHの存在がNSC内の星形成に与える影響を研究する。過去の観測はSMBHのごく近傍に限られていたが、NSC内の星形成過程を理解するためには、これまでにない、NSC全体とその周囲をカバーする広い視野の観測が鍵となる。本研究によるSMBHとNSCの共進化の理解が、バルジを含む銀河の進化の理解へのひとつのステップになると期待できる。 本研究の第一目標は、狭帯域フィルターを用いた星の選別による、銀河系NSC内の早期型星の発見である。本年度の研究では、この領域において、多数の早期型星の候補天体を検出することができた。このうち30天体以上が、本研究による新たな発見である。過去の分光観測や、輝線を探査するイメージング観測のデータとの比較により、本研究の手法が信頼できることも確認できた。つまり新しい候補天体が高い確率で早期型星であると言うことができる。 この観測結果は、銀河系NSCにおいて2種類の星形成モードが存在することを強く示唆している。これまでは、超巨大ブラックホール近傍にできるガスの降着円盤内でのみ星が形成されると考えられてきた。今画発見した早期型星候補天体は、そのような円盤から遠く離れた位置に存在する。最終的には天体の分光同定が必要であるが、私達の発見により、新しい星形成モードの存在が明確になりつつある。
|