2011 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー天体現象における磁気エネルギー解放とフレア機構の解明
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23840045
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
高橋 博之 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 特任助教 (80613405)
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Keywords | 磁気流体 / 輻射流体 / 理論天文学 / シミュレーション / 磁気リコネクション / 高エネルギー天体現象 |
Research Abstract |
相対論的磁気リコネクションの輻射による影響とそれによって得られる光度変化を調べるため、電気抵抗と輻射の効果を無矛盾に取り扱う事が出来る相対論的抵抗性輻射磁気流体(Relativistic Resistive Radiation Magnetohydrodynamics、R3MHD)コードの開発を行った。輻射場の取り扱いは1次モーメント法を用い、等方放射を仮定するEddington近似を用いる方法に加えて、非等方放射を取り扱う事が出来るM-1クロージャーの実装を行った。この数値計算手法の特徴として、ガスや輻射場の移流は陽的に時間積分を行い、電気抵抗による電場の散逸や電子-光子間相互作用(散乱、吸収、再放射)は陰的に時間積分を行う。このように2つの時間積分法を組み合わせることで系の長時間発展(~力学的進化)を安定に追う事が可能となった。この新しい計算手法の正当性・妥当性について各種テストを行い、2011年秋期天文学会等で報告を行った。このコードを国立天文台天文並列計算機XT4、宇宙航空研究開発機構並列計算機FX-1、東京大学並列計算機HA8000に移植し、一様輻射場中における相対論的ペチェック型磁気リコネクションのシミュレーションを行った。その結果、電子密度が高く、光学的に厚い状況で磁気リコネクションが起きると輻射は電子散乱によって引きずられ、その結果、輻射場はリコネクションアウトフロー方向に強くビーミングすることがわかった。一方、ガス流体は散乱によって実効的な摩擦を受けるためにエネルギー変換効率が下がることがわかった。これらの効果は高エネルギー天体現象で顕著に現れる相対論的効果による帰結である。これらの結果についてIAU symposium等の国際会議や国内の学会・研究集会において報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の間に(i)相対論的輻射磁気流体コードの安定な数値スキームの開発・実装を行い、論文を投稿したこと、(ii)電気抵抗の効果も含めたR3MHDコードの開発を終えたこと、(iii)R3MHDコードを相対論的磁気リコネクション問題に適用し、その初期成果が得られたこと、また、得られた初期成果ついては3つの招待講演を含め、国内外の研究集会で発表を行ったことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
相対論的磁気リコネクションにおける輻射の効果をより詳細に調べるため、散乱と吸収の効果を切り分け、それぞれがエネルギー変換効率に対してどのような影響を与えるか調べる。また、R3MHDコードを用いたブラックホール降着円盤の大局的数値実験に適用し、実際にフレアによる活動性が現れるか調べる。
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Research Products
(7 results)