2011 Fiscal Year Annual Research Report
太陽系近傍のM型星を公転するトランジット地球型惑星の探索と特徴付け
Project/Area Number |
23840046
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
成田 憲保 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 研究員 (60610532)
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Keywords | 太陽系外惑星 / トランジット / 分光観測 / 測光観測 / 直接撮像観測 / 惑星探索 / 惑星大気 / 惑星形成 |
Research Abstract |
平成23年度は、地上トランジットサーベイグループSuper-WASPのアーカイブから岡山天体物理観測所188cm望遠鏡のISLEによって高精度測光観測が可能なトランジット惑星候補を50個あまり選定した。さらにこれをもとに岡山での観測時間を獲得し、近赤外高精度測光観測によるトランジット惑星の確認観測を開始した。平成23年度には4つの候補について晴天夜の観測を行い、3つは惑星ではないことを確認して、1つで地球型あるいは海王星型惑星サイズと矛盾しない候補を発見した。これを受けて、次のステップとして平成24年度にすばる望遠鏡での視線速度測定を行うことを立案した。以上から当初計画したトランジット惑星探しの研究は順調に進んでおり、今後は岡山での高精度測光観測の時間をさらに獲得することで、惑星探しのスピードを加速させたいと考えている。一方、今後既に発見されている低温度星まわりのトランジット地球型惑星の観測を行うために、南アフリカ天文台のIRSF1.4m望遠鏡SLRIUSと、東京アタカマ天文台のminiTAo1m望遠鏡のANIRで近赤外高精度測光観測の試験を行った。この結果、目標通りどちらの望遠鏡でも0.2%程度の測光精度を達成することができた。特にIRSF1.4m望遠鏡では、トランジェットをする地球型惑星GJ1214bのJHKsバンドでの同時測光観測が成功し、惑星大気の多波長高精度測光を行うことができた。この結果については現在論文にまとめており、平成24年度も引き続き高精度測光観測を実施する予定である。これにより、平成23年度は当初平成24年度までに行うこと目指していた目標までをほぼ達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は当初の目的通りにトランジット惑星探索の候補を50個程度選定することができ、それに対する岡山天体物理観測所の観測時間も20夜程度確保することができた。それにより実際に惑星探しの観測を開始することができ、2012年2月には岡山の観測で惑星と矛盾しないトランジット減光を示す候補を1つ確認し、2012年夏のすばる望遠鏡での惑星候補の質量確認に進むことができた。また、獲得した研究費によって解析環境を整えることができた。一方、惑星大気の観測においては、南アフリカのIRSF1.4m望遠鏡での高精度測光観測が成功し、トランジットをする地球型惑星GJ1214bのJHKsバンドでの同時測光観測を実施して、論文にまとめている。以上から、2年間で行う目標としていた事柄が、ほぼ1年間で達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題ではトランジット惑星探索を中心に研究を進めているが、研究計画は予定通り順調に進んでおり、引き続き岡山での観測を中心として観測を進めていく。観測の研究を遂行する上で問題となるのは天候だが、そのリスクを低減するために、岡山での観測夜数を増やすべく、観測提案をより充実させていく。
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Research Products
(26 results)