2011 Fiscal Year Annual Research Report
広域大気汚染物質排出量の最適化―モデルと衛星を融合させたトップダウンアプローチ―
Project/Area Number |
23840050
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
弓本 桂也 気象庁気象研究所, 台風研究部, 研究官 (50607786)
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Keywords | 逆推定 / エミッションインベントリ / グリーン関数法 / 化学輸送モデル / 中国 / 一酸化炭素 / 大気環境 / 大気汚染防止・浄化 |
Research Abstract |
研究実施計画では,研究初年度である本年度は排出量逆推定に関する研究の準備期間とし,逆推定を行うために必要な3つの要素について,その準備と研究を行った. (1)衛星観測データ 逆推定の拘束条件として用いる衛星データの取得と予備解析を行った.衛星センサーとしては2000年より長期間のデータの蓄積のあるMOPITT/TERRAを選択した.アベレージングカーネルの取得を行い,モデル結果と比較を行うプラットフォームを開発した.予備解析では,東アジア域の一酸花炭素分布の季節・年々変動を明らかにした.とくに,中国における急速な経済発展に追随する濃度の増加を確認するとともに,近年の経済状況の変化(オリンピックや世界的経済後退)の影響と見られる変化を認めることができた. (2)化学輸送モデル(およびボトムアップ排出量) 観測データと排出量をつなぐ「感度」の計算を行う化学輸送モデルのセットアップおよび計算を行った.モデルには全球化学輸送モデルGEOS-Chemを選択し,計算に必要な計算機のセットアップおよび境界条件(気象場や排出量)の整備を行った.また,GEOS-Chemに実装しているタグ付きトレーサー実験を利用することにより,必要な計算時間を1/10程度にできるようになった. (3)「グリーン関数法」 観測データとモデルから得られた感度を用いて,排出量の最遮化を行うグリーン関数法の理論整理とプログラムの構築を行った.プログラムは衛星観測データと数値モデルの結果をダイレクトに読み込めるように工夫し,解析誤差などの事後解析も同時に行えるように工夫した。 以上の準備段階を経て,東アジアの一酸化炭素排出量を対象に予備逆推定実験を行った.実験結果はボトムアップ排出量には見られなかったダイナミックな季節・年々変動を再現した.成果第一報は国内・国際学会で発表され,高い評価を得た.
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Research Products
(3 results)