2011 Fiscal Year Annual Research Report
核子散乱のアイソスピン非対称性を利用した中性子スキン厚の系統的研究
Project/Area Number |
23840052
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西村 太樹 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 基礎科学特別研究員 (30612147)
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Keywords | 原子核 / 中性子スキン / 核物質の状態方程式 / 電離箱 / 中性子過剰核 / 不安定核 / 検出器 / 同位体 |
Research Abstract |
本研究では「核物質の状態方程式」を決定するための重要な物理量である「中性子スキン厚」を定量することが研究の目的である。本研究では、RIBFを用いて中性子過剰Si同位体の炭素標的及び陽子標的を用いて反応断面積を測定し、中性子スキン厚を定量する予定である。このSi同位体の中性子スキン厚の系統性から「核物質の状態方程式」の陽子と中性子のバランスを担う対称項に関する情報を引き出す。 本年度は実験遂行させるための「実験手順の最適化」、「必要な検出器の選定」、「測定時間の見積もり」、「実験中のトラブルへの対処法」等を十分に検討した。特に、上記実験で核種の原子番号を測定するための検出器であるイオンチェンバーの計数率耐性の向上を入念に行った。従来のイオンチェンバーに用いている前置増幅器の時定数は約50μsの長いために計数率の限界はせいぜい1秒あたり2万カウントであった。今回、新たに時定数が10μsの前置増幅器を用意し、原理上は1秒あたり10万カウントの計数率が可能となるはずである。実際に、^<238>Uから生成される不安定核を照射したところ、確かに1秒あたり10万カウントの計数率でもエネルギー分解能をほぼ損ねることなく測定を行うことができた。この時、偶然同時に2発以上の粒子がイオンチェンバーに入射すると、信号がパイルアップを起こし、正しく出力されずに高い方へテールを引いてしまう。今回はこの問題にも新たに対策を講じた。それはマルチヒットTDCで粒子がいつ入射したのかを記録する方法である。これにより、パイルアップにより発生する高い方へのテールを取り除くことに成功した。本年度のイオンチェンバーの計数率耐性向上の成功は、本研究の実験が効率良く進められることはもちろんのこと、他の実験にも大いに活躍することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、実験計画の見積もり及び検出器の性能評価のためのテストを実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は計画通り、RIビームファクトリーにてSi同位体の反応断面積測定実験を行う。
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Research Products
(4 results)