2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23840053
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
堂園 昌伯 独立行政法人理化学研究所, 上坂スピン・アイソスピン研究室, 特別研究員 (60616259)
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Keywords | 荷電交換反応 / スピン双極子遷移 / テンソル力 / パイ中間子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、新しく開発する「パリティ移行核反応」の手法を活用して、原子核のO^-状態強度分布を実験的に抽出することである。未知の性質を持つO^-状態の全貌を明らかにすることで、原子核構造の理解に本質的な役割を果たすパイ中間子相関に関する知見を得る。 パリティ移行核反応である(^<16>O,^<16>F)反応の測定を確立するために、本年度は^<16>F→p+^<15>Oで放出される崩壊陽子用の検出器の設計・製作を行った。設計においては、軌道計算により最適な検出器の構成・仕様を決定した。測定装置は2台の多線式ドリフトチェンバー(MWDC)から構成され、20cm離してSHARAQスペクトロメータD1磁石下流の低運動量側に配置される。各面の検出位置から陽子の飛跡を求め、陽子の運動量および散乱角度を決定する。各MWDCはX-X'-Y-Y'の4面構成であり、有効面積は480mm(W)x240mm(H)、期待される位置分解能は300μm(FWHM)である。これにより、本研究に必要な不変質量分解能150keVを達成できると期待される。本年度はMWDC2台のうち1台を製作した。来年度はじめのイオンビーム実験にて性能評価を行う予定である。 また、パリティ移行核反応を核反応プローブとして確立するためにはその反応機構が重要であると考え、理論研究者と協力してDWBA計算による理論的解析を行った。その結果、中間エネルギー重イオン反応においては光学ポテンシャルの虚部による吸収の効果が本質的であり、パリティ移行核反応においても吸収の効果を定量的に扱うことが重要であるとの結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の崩壊陽子用検出器の設計・製作およびDWBA計算による理論的解析により、実験的にも理論的にもパリティ移行核反応を研究に適用する準備が整った。研究期間中にパリティ移行核反応を確立させ、本研究目的である原子核の0-状態強度分布の抽出を達成するのは十分可能であると考え、区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により実験を行う目処は立った。来年度はパリティ移行(^<16>O,^<16>F)反応測定を^<12>C標的に適用し、同原子核の0-状態探索を行う。また、実験データから0-状態分布を抽出するためには、DWBA計算などの理論的解析が不可欠である。本年度の研究で分かった光学ポテンシャルの吸収の効果に着目して、今後も解析を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)