2012 Fiscal Year Annual Research Report
異常なヒステリシスを伴う新奇一次相転移現象の理論的解析
Project/Area Number |
23840054
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山本 大輔 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 基礎科学特別研究員 (80603505)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 磁性体 / スピン二量体 / 履歴現象 / 冷却気体 / 一次相転移 |
Research Abstract |
我々は昨年度の研究により、ヒステリシスループを伴わない「異常な履歴現象」の発現条件と数学的構造を明らかにした。この異常な履歴現象では、相転移の経路が初期状態に依存するだけでなく相転移の有無自体が初期状態に依存する。我々はこれまでに三角光格子中の極性Bose気体や立方格子中の反強磁性スピン-1Bose気体の系において、この異常な履歴現象が発現し得ることを提案してきた。しかしながら、これら冷却原子気体系は相互作用のエネルギースケールが達成可能な温度に比べて低く、現在の冷却技術では履歴現象をはっきり観測するのが難しいと思われる。 そこで本年度は研究計画通り、「磁性体における異常な履歴現象探索」を行った。その結果、三角格子上スピン二量体物質の模型におけるマグノンBose-Einstein凝縮相と磁化プラトー状態間の一次相転移で異常な履歴現象が存在することを示した。磁性体の系は交換相互作用の強さが温度に対して十分大きいため、印加磁場をコントロールすることで異常な履歴現象を明確に観測できると期待している。この系以外にも、幾つかの異常履歴現象を持つ系を調べ、それらを比較することで最終的な異常履歴現象発現条件を確定した。重要なことは、Lobe型の相領域が一次相転移境界で囲まれているという相図の特徴的な構造である。系の相図がこのような構造を持つ場合、必然的に異常な履歴現象が現れる。この発見は「一次相転移はヒステリシスループを必ず伴う」という教科書的知識を覆すものである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)