2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性半導体を分散させた光機能性ガラスコンポジットの創製
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23850002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中西 貴之 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30609855)
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Keywords | ファラデー効果 / EuS / Sol-gel |
Research Abstract |
精密に構造制御した無機のナノ結晶やその超格子これらを『ナノ構造体』と呼称)は、ナノサイズに起因した異的な発光機能や磁気機能を発現することが知られている。本研究では、先進的物質を創発・設計するために、『自由に機能(磁性・発光等)を付活できる酸化物ガラス(母体ガラスと呼称)』と、磁性半導体『EuX(X=0,S,Se)ナノ構造体』とのガラス・ナノ構造コンポジット物質を作製し、その相乗効果による複合的な機能を調べ、新規の物質設計を行うことを目的に研究を行った。具体的には以下のような手順で進め、H23年度は、『ゾルーゲル法を用いたナノ構造体のガラス封入技術を確立、その機能への影響を検討』を行い、主にナノガラス・コンポジットの合成およびその技術確立を行った。次年度のH24年には、ガラス自体に機能"磁性"を与えた磁性ガラスとEuXナノ構造体の複合コンポジットを作製、新たな相乗的な磁気光学効果を目指し研究を進める。H23年度には、化学的な安定性に優れる酸化物ガラス中に、磁性半導体EuSナノ結晶およびその超格子を均一分散させたコンポジット作製に取り組み、物性向上および熱耐久性向上に成功した。この研究ではナノ結晶を覆う配位子を設計することで無機ガラス源となるSiアルコキシドの表面置換をスムーズに行え、酸を用いず良質なバルクガラスを合成できる条件を示した。これら成果は特許を出願および学術発表会で報告し、H24年3月現在、投稿論文として纏めている。次年度はそのガラスコンポジットをさらに発展させ、『ナノ構造体を覆うフレキシブルな酸化物ガラスの特性を活かし、様々な方法での相乗機能の創発』を目指す。本研究で得られる知見は、物質化学の学術的な重要性だけでなく、産業的にも大きな波及効果・インパクトも期待できるものと考え、現在研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、研究計画に沿い化学的な安定性に優れる酸化物ガラス中に、磁性半導体EuSナノ結晶を均一分散させたコンポジットの作製に取り組み、粒子物性の向上に成功し、そのバルクガラス化にも成功した。また、ナノ構造体はコンポジット化後も粒形状を維持し、熱耐久性の向上も確認され、その方法を特許出願した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにEusナノ結晶とSTO_2ガラスのハイブリッド化に成功した。今後は研究計画に沿い母体となるSiO2主体のガラス相を機能化して、ナノ粒子との機能性ガラスの間で、期待する相乗効果が発現するかについて検討を行う。研究を遂行するにあたって、現在は機能性ガラスの設計に入っており、7月頃までに新規コンポジット物質の合成を最適化を行う。その後は、光磁気効果など物性を中心に研究を進める。これまでのところ、大きな研究の変更点はなく実験を遂行している。
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