2011 Fiscal Year Annual Research Report
全芳香族系ドナーアクセプター型ジブロック共重合体の合成と有機薄膜太陽電池への応用
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23850004
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中林 千浩 山形大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (30613765)
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Keywords | 高分子合成 / 自己組織化 / 太陽電池 |
Research Abstract |
Grignard試薬を用いた縮合的連鎖重縮合法を基とし、末端にケトン基をもつ完全頭尾結合型ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)の合成に成功した。その後、5-アセチル-2-アミノベンゾフェノン誘導体とのフリードレンダー縮合により末端ケトン基をもつP3HTブロックとポリキノリン誘導体ブロックから成る全芳香族系ドナー・アクセプター型ジブロック共重合体の合成を試みたが、目的のジブロック共重合体を得ることは出来なかった。従来、5-アセチル-2-アミノベンゾフェノン誘導体からのポリキノリン誘導体の合成は重合溶媒にクレゾールを用い高温(~180℃)で行われるが、P3HTのクレゾールへの溶解性は乏しく、本研究ではP3HTの良溶媒であるトルエンを用いて還流条件下(~1100℃)で重合を実施した。この反応条件がポリキノリン誘導体ブロックの合成には不十分であったため、目的のジブロック共重合体は得られなかったと考えられる。そこで、アクセプターブロックをポリキノリン誘導体からポリナフタレンビスイミド(PNBI)誘導体に変更し、P3HTとジブロモナフタレンビスイミド誘導体との山本カップリング反応によって新規全共役系ドナー・アクセプター型トリブロック共重合体P3HT-b-PNBI-b-P3HTを得た。 P3HT-b-PNBI-b-P3HTの構造は、NMRとGPC測定により確認した。また、P3HT-b-PNBI-b-P3HT薄膜の光学・電気化学特性はUV-visスペクトル測定とサイクリックボルタンメトリー測定により行った。現在、P3HT-b-PNBI-b-P3HTを光電変換層に用いた有機薄膜太陽電池の作製に取り掛かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初提案していたブロック共重合体を得ることは出来なかったが、「全芳香族系ドナー・アクセプター型プロソク共重合体」というコンセプトから逸脱することなく、新たな分子設計により全芳香族系ドナー・アクセプター型トリブロック共重合体の合成に成功した。研究計画では、平成24年度から有機薄膜太陽電池作製に取り掛かる予定であるが、研究進捗状況は計画から遅れること無く、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究計画の変更に至る大きな問題はない。したがって、本年度は研究計画に沿って有機薄膜太陽電池特性評価を完結できるものと考える。
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