2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノファイバーを用いたバイオハイブリッド材料の創製と幹細胞の微小環境制御
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23850009
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤田 聡 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60504652)
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Keywords | ナノファイバー / 間葉系幹細胞 / 分化 / 生体材料 |
Research Abstract |
造血幹細胞は,白血病などの難治性血液疾患の治療や次世代の再生医療に有効な細胞ソースとして期待されており,造血幹細胞の効率的な増幅培養手法が強く望まれている。しかしながら,その未分化能を維持したまま増幅することは,今なお実現していない。本研究では,造血幹細胞の増幅に適した微小環境の設計を目指し,3次元基材上で造血支持細胞をハイブリッドさせることで,造血幹細胞の増殖を制御する因子を担持させる。本研究では、3次元基材として,生体組織がナノメートルサイズの繊維構造が配向した構造から成る細胞外マトリクスで構成されていることから、配向性を有したナノファイバーに着目した。また、細胞としては、造血支持能を有するヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)を用いた。今回,目的に合致したナノファイバー基材を開発すべく,配向性の異なるナノファイバー基材上でMSCの増殖および分化を評価した。 平成23年度では,まずナノファイバー基材の設計・作製および評価として,エレクトロスピニング法を用いて、ポリウレタン溶液からナノファイバーを基板上に作製した。ファイバーの配向性を,コレクタ部の回転速度により制御することに成功した。つづいて,間葉系幹細胞の培養によるナノファイバー基材のハイブリッド化として,作成した配向性の異なる名のファイバー上で,間葉系幹細胞を培養した。この基材上で間葉系幹細胞の増殖および分化挙動を定量的に評価した。その結果,配向性の違いによって増殖・分化が異なることを見出した。これにより,造血幹細胞の培養足場に適したバイオハイブリッド材料の設計にむけての基礎となる有効な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,造血幹細胞の増殖に有用なバイオマテリアル基材の開発をすすめており,その前段階となる間葉系幹細胞の分化制御をおこなっている。間葉系幹細胞の分化制御に関しては,基材の配向性によりコントロールすることに成功しており,今後この基材上での造血幹細胞の培養を実施する。造血幹細胞の培養に関しては,倫理委員会の承認の遅れより実施がずれ込んだが,すでに承認され準備は完了したため順次実施できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた骨芽細胞方向への分化促進ではなく,脂肪細胞の分化抑制というかたちで,分化の制御が可能となった。幾何構造が異なる基材上での共培養により造血幹細胞の効率的な増幅が可能になるかどうかを,共培養後の細胞の表面抗原解析,および関連遺伝子の発現解析を中心に検証する。
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Research Products
(4 results)