2011 Fiscal Year Annual Research Report
トランジスタに応用可能な新奇n型半導体ポリマーの開発
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23850011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二谷 真司 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40611471)
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Keywords | n型半導体材料 / π共役化合物 / 電解効果トランジスタ |
Research Abstract |
n型有機半導体材料を志向した、新規な架橋型π共役化合物を合成した。母骨格となる芳香族化合物には、チオフェン、ベンゼン、より電子受容性の高いチアゾール及びこれらの混合系を用いた。さらに、電子求引性基としては、分子間相互作用の期待されるカルボニル基を導入した。ポリマー化へと到る前段階として、母骨格を組み込んだ可溶な低分子化合物を合成した。得られた化合物については、X線結晶構造解析による分子の平面性と結晶中での分子配列の評価、サイクリックボルタンメトリー法による酸化還元電位測定、電子スペクトル・蛍光スペクトル測定による共役拡張性の評価を行った結果、優れた平面性・分子配列・電子親和性・共役拡張性が明らかとなった。さらに、スピンコーティング法により有機半導体層(活性層)とする素子を作製して、電界効果トランジスタ(FET)特性の評価を行ったところ、期待通りの良好なn型FET特性ならびにn型としては珍しい大気安定性を示した。今後はこの母骨格をポリマーに応用していく予定である。 同時に、新奇な電気陰性ポリチオフェンとしてフルオロアシル基を導入したポリマーを設計・合成した。このポリマーは、著しい平面性の向上とこれに付随する吸収波長の長波長化が確認された。今後、FETおよび光電変換素子への応用を行う。 以上、本研究から得られた結果より、電子親和性や分子配向などの基礎物性とFET特性の相関関係が一部明らかとなった。特に、分子中にカルボニル基導入した化合物については優れた性能が得られており、今後の新たな分子設計指針に応用可能である。n型有機半導体の開発は未だ発展途上であり、今回得られた研究データは有機半導体材料の実用化に向けた大きな前進となりえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半導体ポリマーを構成するモノマーユニットの開発と、その有用性の確認は成功した。しかしながら、合成したポリマーは、難溶性であるため素子機能評価には到らなかった。またこれとは別に、新奇フルオロアシル置換ポリチオフェンの合成を達成しており、その基礎物性評価は完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
有用なモノマーユニットの開発は達成しているため、今後は溶解性に注意しながらポリマーの新規設計と合成を行っていく。また、別に合成している新奇フルオロアシル置換ポリチオフェンについては、電界効果トランジスタや光電変換素子の半導体材料として機能評価を行う。フルオロアシル置換ポリチオフェンについては、長波長領域までの吸収を示すなど興味深い性質が確認されており、今後はさらなる分子構造の改良を行っていくと同時に、エレクトロクロミック素子などへの応用も視野に入れる。
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Research Products
(7 results)