2011 Fiscal Year Annual Research Report
フロー系とイオン移動ボルタンメトリーを用いた金属イオンの同時分析
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23850012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石松 亮一 九州大学, 工学研究院・応用化学部門, 助教 (90512781)
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Keywords | イオン選択性電極 / 促進イオン移動ボルタンメトリー / イオノフォア / フローインジェクション分析 |
Research Abstract |
K^+,Li^+Ca^<2+>,Mg^<2+>に選択的に応答する4種類のイオン選択性電極(ISE)を作製した。ISEは導電性高分子を電解重合し、その上にポリ塩化ビニル(PVC)、イオノフォア、支持電解質、可塑剤を含むTHF溶液をドロップキャストし、THFを蒸発させることによって調製した。PVCと水(W)界面を横切るイオン移動は比較的遅く、イオン移動速度はセンサー応答に重要なので、ボルタモグラムにデジタルシミュレーションの結果をフィットさせ、速度を見積もった。Li^+に対して速度定数k^0=7.0×10^<-3>と移動係数α=0.45、Mg^<2+>に対してはk^0=8.5×10^<-4>,α=0.48と見積もられた。これはK+(k^0=9.0×10^<-3>,α=0.45)とCa^<2+>(k^0=3.8×10^<-3>,α=0.47)の値と同程度である。これらから1価のカチオンに比べて2価のカチオンのイオン移動が遅い傾向にあることが示唆される。 遅いイオン移動速度がフロー系測定の電流応答に与える影響を理解するためにデジタルシミュレーションで解析を行った。順掃引におけるカチオンのWからPVCへのイオン移動による電流はシグモイド型であった。これはPVC|W界面のカチオンの拡散層の成長が対流によって妨げられ、拡散層の厚みが一定となるためである。これらの結果で重要な点は、イオン移動速度が遅い場合、イオン移動電流を記録するときに大きな過電圧を界面に印加する必要があることである。過電圧が十分大きくない場合はイオン濃度を少なく見積もってしまう恐れがある。本研究で用いたイオノフォアの他の共存イオンに対する選択係数は非常に高く、電流応答は血中に共存する他のイオンの影響を受けないと考えられる。また、フローインジェクション分析法を用いた場合の定量下限は数十nM程度であるのに対し、血中のK^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>のイオン濃度は数mM程度である。よって血液を数千倍希釈しても測定が可能であり、またイオン移動波はこのように希釈された血液中で大きな影響を受けないことが示された。
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Research Products
(3 results)