2011 Fiscal Year Annual Research Report
水和クラスターのコヒーレント分光による動的水素結合構造の研究
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23850018
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
水瀬 賢太 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (70613157)
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Keywords | クラスター化学 / 水素結合ネットワーク / 水クラスター / 分子ダイナミクス / フェムト秒化学 / コヒーレント分光 / 反応機構 / レーザー化学 |
Research Abstract |
本研究は水素結合が水和ネットワークの中で、伸縮、解離し、さらには組み換わるダイナミクスを分子レベルで観測することを目的としている。分子レベルの研究のため、気相中の水和クラスターに対象を絞った研究を開始した。本年度は、分子クラスターの生成、制御・観測に必要なクラスター源、フェムト秒レーザー光源、画像観測用真空チャンバーの設計/開発/立ち上げを行った。クラスター源はパルス超音速ジェット法を主体としており、必要に応じて各種イオン化法を組み合わせることができる。計測時の信号/雑音比を向上するため、パルスバルブの繰り返し数は多い方がよいが、繰り返し数の増加にともなうバルブの温度上昇と不安定性が問題となった。本研究では液冷ヒートシンクの導入により、500 Hzの高繰り返しで24時間以上安定に運転することを確認した。フェムト秒レーザー光源は、増幅したチタンサファイアレーザーを用いて、基本波(800 nm)/2倍波(400 nm)/3倍波(266 nm)をそれぞれ最大5 mJ/2 mJ/50 microJ程度発生できるものを立ち上げた。その光源を用いてクラスターのイオン化質量スペクトルの測定を行った。更に、フェムト秒とナノ秒レーザーとの組み合わせ実験により、クラスターの構造変形に関わる分子間振動のコヒーレント励起を観測した。本研究で確立した測定系により、分子や分子クラスターのコヒーレント分光、時間分解超高速分光が可能になり、分子システムのダイナミクスに関する知見が得られるようになることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2年計画であり、本年度(研究初年度)、に予定していた装置、測定系の設計、開発、立ち上げをおおよそ終えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に立ち上げた実験装置、測定系を用いて気相クラスターのコヒーレント分光実験の原理確認、測定系の最適化、実際の測定を行っていく。
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