2012 Fiscal Year Annual Research Report
水和クラスターのコヒーレント分光による動的水素結合構造の研究
Project/Area Number |
23850018
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
水瀬 賢太 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (70613157)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | クラスター化学 / 分子ダイナミクス / フェムト秒化学 / 水素結合ネットワーク / 水クラスター / 画像観測 / イオン化学 / 化学反応動力学 |
Research Abstract |
本研究は、水クラスターの中で水素結合が、伸縮、解離し、さらには組み換わるダイナミクスを詳細に観測することを目的としている。本研究の目的のためには、1)観測したいダイナミクスを選択的に励起する振動励起法、および2)励起したダイナミクスを観測するための時間分解光イオン・光電子画像観測装置を開発する必要がある。 1)画像観測装置に関しては、まったく新奇な着想に基づく位置敏感検出法を組み込むことで、既存の3次元検出装置の数百倍の検出効率かつマイクロメートルの位置分解能をもつシステムを設計・開発し、実験への最適化を行った。さらに、製作した装置を用いて窒素分子の回転波束の実時間画像観測をおこない、上記のパフォーマンスを確認するとともに、回転している分子のダイナミクスをより直接的に観測することに成功した。 2)振動励起法については、フェムト秒レーザーを用いたインパルシブラマン散乱過程の利用が効率的であると考え、分子クラスター実験への適用が可能な光学系を構築した。外部高周波信号との同期が可能な高強度の近赤外光(820nm,3mJ,35fs)および紫外光(400nm,1mJ,45fs)を発生させるフェムト秒レーザーを新規に立ち上げた。フェムト秒振動励起―ナノ秒イオン化実験をベンゼンでラベルした分子クラスター系に適用し、分子間振動のコヒーレント励起に由来する信号を観測した。得られた信号は、量子化学計算および2光子イオン化分光実験により、分子間の変角振動励起状態によるものと帰属した。 さらに、水クラスターの生成条件によって分子間振動ダイナミクスを制御する手法を開発し、J.Phys.Chem.A誌に発表した。 本研究で開発した装置と方法論により、分子や分子クラスターの新規コヒーレント分光、時間分解超高速分光・画像観測が可能になり、分子システムのダイナミクス研究における発展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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