2012 Fiscal Year Annual Research Report
同心球構造を有するハイブリッドナノ粒子の作製と閉じた空間空隙材料としての応用
Project/Area Number |
23850020
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
浦田 千尋 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 研究員 (40612180)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 有機-無機ハイブリッド / はつ油処理 / はっ水処理 / 層状構造体 / 防食 |
Research Abstract |
昨年度は、層状構造を有する有機-無機ハイブリッドの(i)優れた防錆特性および(ii)はっ水/はつ油性を見いだした。(i)の結果は想定通りの結果であったが、(ii)については、予想外の結果であったとともに、基礎・応用の観点からも興味深い現象であるため、本年度は特に(ii)の内容について、より詳細に調査した。 ハイブリッドの作製方法は、昨年度と同様であり、アルキルシランとテトラアルコキシシランを主原料(固形成分)として、弱酸を含むエタノール溶液中で加水分解・縮重合させた後に、防錆剤を添加し、ガラス板へスピンコートし、ハイブリッド膜を得た。アルキル鎖長(CnH2n+1)のはつ油性への影響を調査すると、n=3-12の範囲で、平滑かつ優れたはつ油性を示すハイブリッド膜が得られ、これらの表面上で、微小油滴(5 μLのヘキサデカン)は僅かな傾斜で滑落した。これは、テトラアルキルシラン由来のシリカ種がアルキル鎖間の距離を制御するスペーサーとして機能し、アルキル鎖の運動性が向上したため、試料表面と油滴の相互作用がなくなり、優れた動的はつ油性を示したものと考えられる。一方で、n≧14の場合は、凹凸表面(クラック)が得られるとともに、はつ油性は示されなかった。一般にアルカンチオールやアルキルシラン等の自己組織化単分子膜では、アルキル鎖長の増加に伴い、その配座はall-transが支配的となり運動性が抑制される。本系においても、n≧14の場合、同様の分子配向が支配的となり、アルキル鎖の運動性が抑制され、はつ油性の低下に繋がったと考えられる。さらに、表面に生じたクラックによる“ピン留め効果”も相まって、はつ油性がさらに低下したと考えられる。これらの知見をもとに、アルキルシランの代替として、パーフルオロアルキルシランを用いると、耐久性(耐熱・耐候性)に優れたハイブリッド膜を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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