2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール構造制御による高機能CNT/セラミックス複合材料の実用化手法開発
Project/Area Number |
23860004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 剛 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30436159)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / カーボンナノチューブ / 複合材料 / セラミックス / 機械的特性 |
Research Abstract |
セラミックスはその優れた材料特性から,機器・構造材料の性能や適応範囲の壁をブレークスルーできる可能性を有している.しかしながら,き裂先端での高い応力集中を緩和させる機構が作用しにくいセラミックス材料は脆く,これを機器・構造用部材の荷重担体として安全に使用できる段階まで開発されてはいない.本研究の目標は,カーボンナノチューブの優れた材料特性を活用することで,実用化可能な多機能性セラミックスの創製のための設計手法の方法論を構築することである.研究目標を達成するための最も重要な課題は,"破壊靭性の飛躍的な向上"と"連続生産が可能な製造プロセスの確立"である. 開発材料の破壊特性の向上牽達成するためには荷重担体となる繊維の破壊強度に関する理解は,繊維を強化要素として使用した複合材料の設計において極めて重要である.このような背景のもと,今年度は,異なる温度でアニール処理を行った4種類のMWCNT単味の一軸引張実験をSEM観察下において実施した.その結果,MWCNTのナノ構造に依存して剣鞘型あるいはクリーンブレーク型の破断形態を呈することを見出すとともに,MWCNT単味の破壊特性を向上させるための最適なナノ構造が存在することを発見した.さらに,アニール処理によりナノ組織を制御でき,MWCNT単味の強度を向上できることを世界に先駆けて示している.従来のMWCNT/セラミックス複合材料の作製に関する研究では,放電プラズマ焼結法等のバッチ式加圧焼結法が多用されてきた.無加圧焼結法によることができれば,サンプルの大型化や任意形状の部品への展開など,実用上の利点が期待される.本研究では,無加圧焼結法で緻密なMWCNT/アルミナ複合材料を作製することに成功し,試作材の強度および破壊靱性特性はバッチ式加圧焼結法も超える世界トップの値であることを示している.この成果は,複合体作製の連続プロセス化を可能にするものであり実用化を大きく前進させることが期待される.
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Research Products
(10 results)