2011 Fiscal Year Annual Research Report
不規則変動風圧シミュレータを用いた建築外装システムの耐風性の評価法の提案
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23860008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
ガヴァンスキ 江梨 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00608797)
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Keywords | 風荷重 / 建築構造・材料 / 実寸大実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は強風時の建物外装材被害低減を目指しての、新たな建築外装システムの耐風性能評価方法の提案である。本研究目的達成の上で最も重要である、不規則変動風圧を載荷できる載荷装置(Pressure loading actuator, PLA)の製作が23年度の最も大きな目標であった。この装置は従来の実験で用いられる静圧や漸増荷重といった風荷重を簡易化した荷重のみではなく、風荷重特有の不規則な変動(時間的な変動)を忠実に再現できる装置であり、このような装置は現在PLA以外に存在しない。世界的にはカナダ、アメリカ、オーストラリアの大学・研究所で用いられているが、国内では初となる。この装置の使用により、実状況に近い荷重下で建築外装材を繰り返し実験することが可能となり、より適切な耐風性評価を行うことができる。当初、この装置はカナダのUniversity of Western Ontarioからレンタルする予定であったが、必要とされる電力仕様が日本の仕様と大きく異なり、検討した結果、対応するための電気工事費用やレンタル料よりも新規で製作するほうが妥当であると考え、日本で手に入る部品を用いて製作をした。今回の実験ではPLAを用いての実大実験の足がかりとして小規模な窓ガラスを対象としているが、今後はより大きな外装システムへの適用も考えていたため、国内においてPLAが製作できたことは今後、複数個のPLAを要する研究の展望が開けたと考える。製作したPLAの性能も満足できるものであり、これまで国内で製作された類似の載荷装置の性能を大幅に上回っている。載荷装置と同様に本研究において必須である装置は窓ガラスそのものを設置できる圧力箱であるが、重要となる箱の気密性と窓ガラスの交換作業性を考慮することができ、今年度予定している窓ガラス破壊実験を円滑に進められるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
載荷装置の部品の一部(サーボモーター)が国内では手に入りにくく、予想以上に入手に時間を要したため、製作に多少の遅れが生じた。しかし、装置自体は平成23年12月に完成し、最も危惧されていた作動性の確認が順調に進み、平成24年3月にはキャリブレーション箱(0.3x0.3x0.2m)を用いての作動性確認を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は製作した載荷装置と圧力箱、そして鉄板を用いての更なる載荷装置の作動性の確認・調整を行う。これは圧力箱の体積(1.3x1.1x0.15m)により載荷装置の性能が異なるため、想定している風圧を再現できるように空気漏れ量や載荷する風圧時刻暦波形を修正する必要がある。その後、実寸大窓ガラス破壊実験を行う。予定しているガラスの寸法は一つのみであるが、荷重パターンとして漸増荷重を2パターンと動的風荷重を1パターン予定しており、試験体数は各20を予定している。
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