2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23860010
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
福田 憲二郎 山形大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40613766)
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Keywords | 有機トランジスタ / 塗布プロセス / 低温プロセス / 擬CMOS回路 / インバータ / 印刷電極 / 高分子半導体 |
Research Abstract |
平成23年度は室温焼結型銀ナノ粒子インクを用いて、全行程100℃以下のプロセス温度による全塗布型有機トランジスタの単体動作に成功した。また、実際に4つのトラシジスタを集積化させることで擬CMOSインバータ回路を作製し、その良好動作に成功した。 室温焼結型銀ナノ粒子をディスペンサ装置によって描画することにより、良好な電極を作製することに成功した(最小チャネル長:50μm)。作製した細線の抵抗率を測定したところ、30℃の焼成温度でも400μΩcmという値が得られ、室温による焼成でも導電性を発現した。この銀ナノ粒子を用いて全行程100℃以下のプロセス温度による全塗布型有機トランジスタ単体を作製した。絶縁膜にはテフロン、半導体材料にはPB16TTTを用いた。作製したトランジスタは100Vの駆動電圧でも良好な駆動を示し、得られた移動度は0.1cm^2/Vsであった。また作製した素子の長時間駆動安定性も問題ないレベルであることを確認した。 この電極を用いて、室温焼成による擬CMOSインバータ回路の作製を行った。その結果、30℃という室温での電極焼成においても回路の良好駆動を達成した。インバータ回路は7.5Vまで安定に駆動し、得られたゲインの最大値は30であった。この値はP型のみを用いたインバータ回路としては非常に高い値であり、このような良好に駆動するインバータ回路を印刷電極を用い、さらには室温焼成という工程で達成された例は今までに報告されていない。 以上の結果は、室温焼成による印刷電極を用いて良好に駆動するトランジスタ・集積回路の実現が可能であることを示す重要な成果であり、安価な基板上への有機集積回路の作りこみを可能とする成果である。将来の印刷プロセスによる低コスト・大面積なエレクトロニクスを実現するための重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全行程100℃以下の低温プロセスにより全塗布型有機トランジスタ単体の作製に成功し、移動度0,1cm^2/Vs以上の良好な性能が達成されている。また塗布電極による擬CMOSインバータ回路を作製し、低温プロセスにおいても良好な出力特性を得ることに成功した。また、微細電極お作製するためのインクジェット装置の条件だしも並行して行い、チャネル長25μm以下のライン描画条件をすでに確立している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は集積化・および動作の高速化に主眼を置いて研究を進める。昨年度の条件だしによって得られたインクジェット描画による短チャネル電極作製手法を用いて、チャネル長25μm以下の素子で、20V程度の駆動電圧で移動度0.1cm^2/Vsが得られる条件を探索する。絶縁膜や、半導体素子の最適化も行う。その後、オール塗布プロセスによる擬CMOSインバータ回路単体の評価を行い、素子のバランス最適化を行い、安定に駆動する素子条件を決定する。その後、複数段のインバータ回路を集積させることで擬CMOSリングオシレータを作製し、その駆動速度を評価する。得られた結果よりより高速動作する条件を探索し、さらなる改良を試みる。
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Research Products
(3 results)