2011 Fiscal Year Annual Research Report
光周波数コム長さ校正ネットのための実時間・高精度空気揺らぎ補正システムの開発
Project/Area Number |
23860013
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
韋 冬 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任研究員 (70610418)
|
Keywords | 光周波数コム / 空気 / 揺らぎ / 長さ計測 / 屈折率 |
Research Abstract |
2009年7月、日本における長さの国家標準はヨウ素安定化ヘリウムネオンレーザからフェムト秒光周波数コム(光周波数コム)へと変わった。計測現場における計測精度の向上を図るためには、光周波数コムに直接リンクした長さ計測技術を開発する必要がある。これまでは、パルス列間干渉現象の基本である光周波数コムの時間コヒーレンス関数に関する研究を取り上げ、それに基づいて新たな計測法などを提案した。空気の揺らぎをどのように補正するかは残された問題である。 従来の研究では、干渉計に非線形結晶により発生させた第2高調波を用いた空気ゆらぎの除去法があったが、第2高調波を発生させるためには、数ワットの高出力パワーを持つ光源が必要である。目に安全な数十ミリワットの出力パワーを持つ光源でいかに空気ゆらぎを除去するかの研究は、光周波数コムによる安全安心な長さ計測を実現するために避けては通れない研究である。 今年度は、これまでの経緯を踏まえて、光周波数コムを用いた長さ計測の精度を向上させるために不可欠な空気の揺らぎ補正を取り上げ、そのモデルを構築し、空間光変調器を用いて空気の揺らぎにより生じる波面揺らぎを抑え、揺らぎによる誤差を補正する技術要件を検討し、高精度で絶対的長さを計測できる方法を用いて提案法の検証、またその不確かさの評価を実現することを目標とした。 具体的には、以下のことを目的として研究を行った。 (1)生産環境におけるメートルオーダーに渡って空気の揺らぎに関するモデルを構築した。 (2)補償光学に基づいた空気揺らぎの10-8オーダーでの補正に関する技術要件を検討した。 (3)補正システムの高精度での補正を活かした長さ計測を試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提案した補正システムの構築が予想以上に難しかったため、光学系を変更した。そのために、本年度は、当初の計画と比べて、やや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
変更した光学系を利用し、引き続き、実験部品のスペックを見積もって、調達し、高精度な補正機能を活かした長さ比較計測実験を行う。 具体的には、長さ計測部分は光周波数コムを用いて参照鏡を基準に物体鏡までの長さ計測をし、計測した長さデータが得られる。異なる干渉計を用いて、揺らぎを含んだ変位データが得られる。計測した長さデータから検出された揺らぎ成分を引くことにより、補正された長さを得る。
|