2012 Fiscal Year Annual Research Report
多層化による核融合炉ブランケット配管用トリチウム透過防止膜の高度化研究
Project/Area Number |
23860017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近田 拓未 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20614366)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | トリチウム / 水素 / 透過 / 薄膜 / 酸化エルビウム / リチウム鉛 |
Research Abstract |
本研究は、核融合炉ブランケットにおけるトリチウム透過漏洩の問題に対して、近年見出されたトリチウム透過防止膜の多層化による高性能、高信頼性の付与に着目し、実機導入を目指した成膜手法を開発すると同時に、多層膜中の水素同位体透過機構を解明することを目的としている。 2年度目の平成24年度は、セラミックス-金属複層膜とリチウム鉛との腐食挙動の検討を行った。酸化エルビウム薄膜および酸化エルビウム-鉄複層膜の試験片を400~600℃の液体リチウム鉛に静置場で100~1505時間浸漬し、試験後の断面電子顕微鏡像より薄膜の変化を調べた。400℃の浸漬後においてはすべての試料で変化が見られなかったが、600℃では100時間の浸漬でいずれの薄膜試料にも剥離が起こった。一方、剥離した薄膜の膜厚が変化してないことから、腐食は基板―薄膜界面から起こったと考えられる。500℃および550℃で1505時間の浸漬後においては、表面からの腐食が確認された。複層膜では、鉄層が腐食によって消失した後に、酸化エルビウム層の上部でエルビウムが失われながら腐食が起こる様子が見られた。これは、鉄層がリチウム鉛中の酸素によって酸化され腐食された後に、リチウム鉛へエルビウムが溶解することによって腐食を起こしていると考えられる。腐食速度については、複層膜では550℃、1505時間後に0.5ミクロンの減肉であったのに対し、単層膜では1ミクロンに達したことから、鉄層によってリチウム鉛腐食が低減されたことが明らかになった。今後、リチウム鉛中の酸素濃度および鉄層の膜厚や層構造などのパラメータを制御することによって、より共存性の高い機能性多層膜が作製できると考えられる。 以上より、2年間の研究で当初の目的を達成し、同時に今後の研究開発方針を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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