2011 Fiscal Year Annual Research Report
析出塩と土壌中の熱・水分移動の相互作用を考慮した塩析出予測モデルの構築
Project/Area Number |
23860024
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
寺崎 寛章 福井大学, 大学院・工学研究科, 研究員 (40608113)
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Keywords | 土壌塩害 / 塩析出 / 集積塩 / 予測モデル / 東北塩害 |
Research Abstract |
本研究は、析出塩と土壌中の熱・水分移動の相互作用を考慮した塩析出予測モデルを構築することを最終目的としている。従来、塩濃度予測モデルが開発され、土壌塩濃度鉛直分布の実験値と計算値との比較によるモデルの妥当性が論じられているが、塩害予測で重要となる地表塩濃度、析出開始時間および析出塩量の測定および予測を行った研究は殆ど皆無であり、塩集積予測モデルおよび塩害防止策の開発は未成熟と言わざるを得ない。 そのため、例えばリーチングや表層排土法で重要となる表層付近(塩濃度勾配が激しい)の土壌内塩濃度や析出塩量などの情報に乏しく、削除土量やその時期、投入水量、除塩量に関する科学的根拠が乏しいのが現状である。 本研究で提案する塩析出予測モデルは、従来の塩移動予測に加えて、析出塩量、析出時期の予測が可能となり、精度良く、土壌内の塩移動および表層(付近)の塩集積現象を予測することができ、除塩の効率化を図ることが期待できる。 この塩析出予測モデルの構築のためには、従来、申請者が開発した飽和-不飽和-乾燥土壌中における熱・水分(水蒸気を含む)・塩移動の同時連成解析モデルに、(1)析出塩と体積含水率を考慮したアルベド予測モデル、(2)析出塩の水蒸気移動抵抗を組み込むことが必要不可欠となる。本年度では、簡易かつ低コストで測定が可能なアルベド測定法(ボックス法)を提案し、その精度を確かめるとともに、ボックス法を用いて乾燥から湿潤状態の土壌上の析出塩量とアルベドを測定し、任意の体積含水率および析出塩量のアルベド予測モデルを提案した。さらに、析出塩が水蒸気移動抵抗として作用することを考慮して、蒸発速度と析出塩量を定量評価し、従来の蒸発バルク式に析出塩水蒸気抵抗係数を組み込んだ蒸発式を提案した。以上より、析出塩のアルベドおよび水蒸気抵抗を定量評価したことで、塩析出予測モデルの構築が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目的である「析出塩と土壌中の熱・水分移動の相互作用を考慮した塩析出予測モデル」を構築するため、初年度では「析出塩と体積含水率を考慮したアルベド予測モデル」および「析出塩の水蒸気移動抵抗の定量評価」を行った。さらなるデータの蓄積が必要であるものの、塩析出予測モデルの開発は順調に進んでいる。次年度では、塩析出予測モデルの構築とその精度を検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を東北塩害土壌への適用を試みるために、まず東北地方の塩害土壌調査を実施する。その後、土壌結果に基づいて、土壌調査結果に気象データや土壌データなどを塩析出予測モデルに入力し、水田土壌中の塩移動の推移を計算し、自然環境下(未処理区)における塩濃度低下を計算し、農業再開計画に役立てる予定である。 さらに東北地方に最も適した除塩方法(例えば、リーチング効果の検証、暗渠の設置計画、表層排土の最適化など)の開発および評価を行い、塩害拡大防止および塩害農地の早期回復に努める。
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Research Products
(4 results)