2011 Fiscal Year Annual Research Report
空間構成要素別にみた学校建築の空間的性質に関する研究
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23860026
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
垣野 義典 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60385523)
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Keywords | 学校建築 / 空間要素 / 空間的装置 / 児童 / アクテビティ |
Research Abstract |
1本研究では、近年児童・生徒の生活実態を注視、記録することに力を注ぐ「ソフト面の検証研究」が中心の学校建築研究において、今一度学校を「建築」と捉え一端施工・配置されれば容易には変更のきかない構成部材に着目している。本年度は具体的に、学校建築における「柱」および「壁」に着目し、児童・生徒のアクテビティとの関連について行動観察調査を行った。学校建築の柱は、その形状、断面の大きさ、素材、配置方法、配置場所によってその空間的意味や、児童・生徒のアクテビティに与える影響は異なる。 具体的な分析・考察結果は2012年度に研究論文として発表予定であるが、本年度は、まずステップ1として、1980年~2011年の間、発行された新建築などの建築専門誌より40事例以上の小学校・中学校建築を抽出した。そして、この抽出した事例を、空間構成によって類型化を行い整理し、日本の学校建築の近年の動向、空間の傾向を把握することができた。次に、具体的に調査する空間や構成体を抽出、整理し類型化を行った。「柱」や「壁」、「大階段」など、抽出できる空間については、その配置場所や形状などあらゆる視点から、柱の空間的特徴を分析した。抽出した40事例中20事例程度において1日現地視察を行い、現状確認と一日の児童・生徒の生活実態を把握した。次にステップ3として、ステップ1、2の結果をもとに、6事例を選定、特定の空間要素について行動観察調査を行った。 これまで、建築計画研究において、「柱」や「壁」がもたらす、児童・生徒のアクテビティへの影響は検証されていない。本調査結果はその意味でも意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は、前半は予定通り日本国内における傾向を把握することができた。後半は、調査対象を10事例としていたところが、6事例にとどまった。これは、一つ一つの事例を丁寧に観察することを重視したためで、当初は1事例につき2、3日を予定していたが、調査記録の密度を上げ比較しやすいよう、記録採取に4日間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)他大学研究室との協働 研究の構想が大きいものほど、いわゆる複数人でのブレーンストーミングは不可欠である。本研究でも、伊藤俊介准教授(東京電機大学)、佐藤将之准教授(早稲田大学)、倉斗綾子助教(千葉工業大学)の各研究室と合同で進行中である。今後も、他大学の研究室と定期的なミーティングを行い、多角的な視点を保ちながら、研究をすすめてゆく。 (2)様々な空間や特徴をもった多くの事例を抽出する 有効な研究結果を得るためには、多角的な比較分析が欠かせない。従って、多くの事例抽出と偏りの少ない事例選定を意識するとともに、各事例がもつ独自の空間的特徴を的確に把握することが重要である。今後は、すでに調査済みの事例も含め、再度調査中に確認できた空間の使われ方もふまえ、今後の事例選出に活かしてゆく。
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Research Products
(4 results)