2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波周波数標準に位相同期した広帯域テラヘルツ・シンセサイザーの開発
Project/Area Number |
23860029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
JEWARIYA Mukesh 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特任研究員 (20608773)
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Keywords | 応用光学・量子光工学 / 計測工学 / 光源技術 / 超精密計測 / テラヘルツ/赤外材料・素子 |
Research Abstract |
気体分子の多くが回転遷移に伴う特徴的な吸収線をテラヘルツ領域(THz領域:周波数0.1~10THz、波長30~3000um)に示すことから、大気環境の新しいセンシング手段として、波長可変CW-THz波を用いた超精密THz分光が期待されている。THz領域にひしめき合うように密集する吸収線群を正確に識別するためには、光源であるTHzシンセサイザーの発生周波数が狭線幅かつ波長可変であるだけでなく、その絶対値が周波数標準器にトレーサブルであることが望まれる。本研究では、波長可変CW-THz波の発生技術として広く用いられるフォトミキシング技術に対して、超精密分光や光周波数標準の分野において革命的進展をもたらした光周波数コム技術を導入することにより、マイクロ波周波数標準に位相同期したTHzシンセサイザーを開発する。 フェムト秒モード同期エルビウム添加ファイバーレーザーを光周波数コムとして利用するためには、モード同期周波数とキャリヤ・エンベロープ・オフセット周波数波数の安定化が必要になるが、本年度はモード同期周波数(frep)の安定化制御を行った。ファイバーレーザー発振器の出力光の一部を高速光検出器で検出し、frepの高次高調波成分とマイクロ波シンセサイザーを電気的にミキシングすることにより、frepの高次高調波成分をRF帯のビート信号として抽出する。このビート信号を制御信号として用いたPLL制御により、ファイバー共振器長をピエゾ素子で安定化する。ここで、マイクロ波シンセサイザー及びPLL制御用参照信号に外部同期信号として原子時計出力信号を与えることにより、frepすなわち光コム間隔を原子時計に位相同期することが可能になる。このようにして安定化されたモード同期周波数の安定度を評価したところ、参照信号限として用いたルビジウム原子時計と同等であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の達成度は、購入物品の納期待ちやファイバーレーザー光源の不調もあり、当初計画の一部を研究遂行することが出来なかったため、『やや遅れている』という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず、モード同期周波数が安定化されたファイバーレーザーのキャリヤ・エンベロープ・オフセット周波数波数を安定化することにより、光周波数コムを実現する。次に、波長可変CWレーザーを光周波数コムに位相同期することにより、原子時計の不確かさで光周波数の絶対値が付与された光シンセサイザーを構築する。最後に、光周波数差がTHzオーダーに設定された2台の光シンセサイザーの出力光をフォトミキシングすることにより、光周波数差を出力周波数に有するTHzシンセサイザーを実現する。
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