2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23860034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
SHAO Huaiyu 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 助教 (20614697)
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Keywords | 水素貯蔵 / 反応速度 / 熱力学 / Mg / 構造 |
Research Abstract |
我々は以前から体心立方(BCC)構造を有する合金を水素貯蔵へ適用する研究を行ってきたが、これらのBCC合金やその水素化物中での水素原子の位置や電子状態については未だに解明できていない点が多い。そこで本研究では、BCC合金および水素化物の構造と水素貯蔵特性との関係を調べた。その結果、マグネシウム基BCC合金の水素吸蔵反応においては、幾何学的効果があることがわかった。実際にBCC合金だけでなく他の結晶構造を持つ合金においても、水素の共有結合半径37pmに近い38pmの孔径を持つ格子間サイトが存在する例が多く見られる。その場合、BCC合金の格子定数は0.30nmになる。BCC合金の格子定数が0.30nmより小さい場合は、水素は格子間サイトを通じて拡散しにくくなり、そのサイトを占有しにくくなる。一方、格子定数が0.3onmより大ぎい場合は、水素は格子問に侵入しやすくなるが、他の格子問サイトへ移動しやすくもなる。共同研究の結果、現時点で結論は出せないが、ボールミリングにより合成されたMg_<50>Co_<50>合金は単純なBCC構造を持つ合金より複雑であり、マクロな組織も水素吸蔵特性に関係しているものと考えられる。 マグネシウム基合金の水素貯蔵反応の熱力学および速度論的特性を調べた結果、ナノ構造化及び触媒添加は反応速度の改善には効果があると確認されたが、熱力学的特性の改善効果は認められなかった。したがって、マグネシウム基合金は、車載水素貯蔵よりも高温でのエネルギー貯蓄に適しているということが言える。この場合、反応速度やサイクル特性、熱伝導度の改善などが材料開発の重要項目となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体心立方(BCC)構造を有する合金の水素吸蔵反応においては、結晶格子における幾何学的構造効果があるとされている。一方、Mg-Co基BCC合金の水素化物においては、Mg_2CoH_5とMgCo_2から構成される複雑な局所構造を有することが分かった。今後は、局所構造および幾何学的構造効果と永素貯蔵特性との相関を詳細に調査する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今後、結晶構造と水素吸蔵特性との相関関係に着目して研究を実施する。 2.シミュレーションを行うことにより実験結果を裏付ける坦論予測を行う。 3.これまでの研究結果より、高温下での使用に適したマグネシウム基合金の開発は将来性があると見込まれる。
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Research Products
(6 results)