2011 Fiscal Year Annual Research Report
疎水・親水のマイクロ構造を有する機能性伝熱面の創成と凝縮熱伝達特性に関する研究
Project/Area Number |
23860063
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
徳永 敦士 独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20609797)
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Keywords | 熱工学 / 滴状凝縮 / MEMS / 伝熱促進 / マイクロ・ナノ伝熱 |
Research Abstract |
MEMS技術の発展とともに,熱工学の分野においてもマイクロ・ナノスケールの伝熱促進技術の開発が求められている.これまでに,気液界面抵抗を評価するために滴状凝縮実験を行い,伝熱に最も貢献する液滴半径が7ミクロン程度であることを明らかにした.すなわち,凝縮面がこれらの液滴によって覆われれば,極めて高い熱輸送能力を得ることが出来る.そこで,凝縮面上の液滴半径を人為的に制限する機能性伝熱面を製作することを計画した.伝熱面にはシリコンウエハを用い,親水面として1ミクロンの酸化膜をプラズマCVDにより成膜した.さらに酸化膜上に撥水処理剤を塗布し,エッチングにより疎水面と親水面を交互に配置するラインアンドスペースを形成している.寸法は,疎水面幅12ミクロン,高さ360nm,親水面幅28ミクロンである.すなわち,液滴が疎水面幅の12ミクロン以上に成長すれば,親水面上の液膜によって取り除かれ,貢献度の高い液滴を分布させることが出来る.この機能性伝熱面上の熱伝達特性を凝縮実験により評価した結果,膜状凝縮よりも高い熱伝達率を得たものの,効果的に液滴を排水することができず,複数のパターンが液膜に覆われたために十分な熱伝達特性の向上を得ることができなかった.そこで,疎水面高さを高くすることで排水能力を高めることが出来ると考え,疎水面高さを800nm,1700nmに変更し,凝縮実験を行った.その結果,1700nmとした場合において,フラッディングがやや抑制され,高さ360nmの場合と比較して凝縮熱伝達特性は向上することを示した.現在は,より効果的なパターンを製作するために,疎水面・親水面の幅や形状について検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画では,疎水・親水マイクロ構造凝縮面の製作技術確立と,熱伝達特性の評価が計画されている.これまでに,MEMS技術に基づいて疎水面と親水面を交互に配置する凝縮面を製作し,凝縮実験を行なってきた,疎水面高さを高くすることはフラッディングの抑制に有効であることを示し,熱伝達特性は疎水面高さが低い場合と比較して向上した.今後,疎水面・親水面の幅や形状について検討するとともに,凝縮熱伝達特性を評価し,適切な伝熱面設計を行うことで目的である熱伝達特性の向上が期待できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
MEMS技術に基づいた,疎水・親水のマイクロ構造を有する機能性伝熱面を製作するための作製条件を構築し,設計した形状を製作することが可能になった.そこで,疎水面と親水面の幅を変更し,現在の問題点であるフラッディングを抑制する凝縮面を作製する.具体的には,伝熱に最も貢献する液滴半径7ミクロンを活用するために,疎水面幅を14ミクロンとし,親水面幅を数ミクロンから14ミクロン程度まで変更し,フラッディングの抑制に最も有効な形状を決定する.加えて,パターン形状を三角形とし,濡れ性こう配を与えることによる排水効果についても検討する.また,形状的に滴状凝縮を実現するための基礎実験として,シリコンウエハにマイクロサイズの円柱を加工し,その有効性について検証する.
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