2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビーム照射によるフッ素系高分子材料表面の特異的突起状化現象の研究
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23860069
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小川 茜 (喜多村 茜) 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 放射線高度利用施設部, 博士研究員 (50611183)
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Keywords | イオンビーム照射 / 高分子材料表面改質 |
Research Abstract |
本研究は、イオンビーム照射がテフロン(PTFE、FEP)等の限られたフッ素系高分子材料にのみもたらす突起状の凹凸構造面(ツィンギー構造)形成に着目し、(1)ツィンギー構造の形成メカニズムを解明し、(2)その知見及びイオンマイクロビームによる局所的な構造変化を用いて空間制御したツィンギー構造を作製することが目的である。当該年度の研究実施計画は、(1)ツィンギー構造の形成メカニズムの解明であり、PTFE及びFEPの厚さ(50-500μm)と、照射するイオンビームのエネルギー(80-380kev、イオン種N_2^+)及び照射量(1E14-1El7ions/cm^2)を変えて、各条件に対する表面形状を考察した。成果として、ツィンギー構造形成に適する条件を特定したため、メカニズムの解明に重要となる各条件における形状変化過程を示すことができ、かつ突起のサイズ及び密度の制御をも可能にした。当成果の意義は、ツィンギー構造の形成が他の高分子材料やシリコン等の無機材料表面では生じない非常に特異的な現象であり、また一般的な機械的微細加工技術では容易に作製できないツィンギー構造の作製を形状制御して実現したことにある。また、(2)空間制御されたツィンギー構造の作製においても、イオンマイクロビームがPTFEやFEPにもたらす形状変化として、プロトンマイクロビームのエネルギー・電流値、走査速度や走査形状を制御し、各条件に対する照射効果として表面形状を考察した。この結果、微小領域を表面隆起させる条件、及び表面形状に変化を与えることなく局所的に内部の化学構造のみを変化させる条件を見出し、局所的なツィンギー構造の空間制御に見返しを与える成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究実施計画である「(1)ツィンギー構造の形成メカニズム」において、メカニズムを支配する要因を特定するとともに「(2)空間制御したツィンギー構造の作製」の実現に必要となる、突起の形状制御が可能な照射条件及び局所的な構造変化をもたらすイオンマイクロビームの照射条件を見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成24年度は、23年度に明らかにしたツィンギー構造の形状制御が可能なイオンビームの照射条件、及び微小領域の表面隆起や試料内部の化学構造変化をもたらすイオンマイクロビームの照射条件を利用して、最終目標であるツィンギー構造の空間制御技術を開発する。
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Research Products
(7 results)