2012 Fiscal Year Annual Research Report
光の波長による日中覚醒作用の心理的・神経生理的評価に関する研究
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23860073
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡本 洋輔 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 産総研特別研究員 (80612184)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 光環境 / 波長 / 覚醒度 / 認知作業 / 大脳活動 |
Research Abstract |
光はその波長成分(色)によって生体に与える影響が異なる.これまで,緑色光や暗闇と比較して青色光への暴露は夜間の覚醒度を向上させることが明らかにされている.一方,夜間以外の時間帯における光の波長成分による覚醒作用特性や作用メカニズムについては不明な点が多い. 本研究では,日中における波長成分の異なる光への暴露が認知課題処理に与える影響を脳波計測によって検討した.短波長光,中波長光,長波長光,または暗闇に暴露中に聴覚オドボール課題を行い,課題遂行時の脳波を計測した.刺激呈示後約300 msに生じる脳波のピーク(P300)について解析を行った.その結果,短波長光条件でのP300振幅は暗闇条件と比較して有意に増大したが,他の光条件でのP300振幅においては暗闇条件との違いは見られなかった.P300振幅の大きさは注意資源の量を反映すると考えられていることから,本結果は短波長光暴露時に他の波長光及び暗闇と比較して,同一課題に対する選択的注意が増加することを示唆している. また,光の波長成分が作業記憶に与える影響を脳磁界計測によって検討した.被験者には日中において短波長光または中波長光に暴露された条件下で作業記憶課題(聴覚スタンバーグ課題)を遂行してもらい,課題遂行中の脳磁界反応の事象関連同期・脱同期について解析を行った.その結果,中波長光に暴露された条件と比較して短波長光に暴露された条件において,記憶刺激群に対するアルファ波帯域の事象関連同期が有意に大きくなった.記憶符号化時に観察されるアルファ帯域の事象関連同期は,能動的な作業記憶の保持または聴覚刺激に対する注意を反映すると考えられている.よって,本実験でアルファ波帯域の事象関連同期が青色光条件においてより大きくなったことは,青色光への暴露によって作業記憶の保持あるいは聴覚刺激に向けられる注意がより増強された可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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