2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23860074
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
福田 展雄 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (00613548)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Keywords | 酵母フェロモン応答 / ヒト受容体 / 自己リン酸化 / 膜局在性 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗癌剤の分子標的とされる上皮増殖因子受容体EGFRに対し、創薬シード探索の効率化を目指して酵母を用いたヒトEGFR解析技術を確立することを目的とする。本年度はまず酵母遺伝資源センターより酵母株・ベクターの分譲を受けたのち、酵母ゲノムよりプロモーター等をクローニングすることによって酵母発現系を構築した。 EGFRの活性化をフェロモン応答へ変換するためのホスト株として、酵母ゲノム上のSTE18遺伝子をG418耐性遺伝子と置換したste18Δ株を創製し、想定通りフェロモン応答シグナルが伝達不能となることを確認した。続いてste18Δ株のシグナル伝達能を回復させるために必要となるヒトEGFRおよびGrb2の発現プラスミドの構築を行った。 理化学研究所DNAバンクより野生型EGFR遺伝子(EGFR-WT)遺伝子を含むプラスミドを入手し、当該遺伝子を酵母発現用プラスミドへ移植した。また627位Val→Gluの1アミノ酸残基置換を行い、恒常活性型EGFR変異体(EGFR-act)発現プラスミドを作成した。EGFR-WTおよびEGFR-actの発現はGFP遺伝子と各々を融合した発現プラスミドを別途構築し、酵母細胞の蛍光強度を測定することで確認した。さらにEGFRのN末端に酵母受容体の膜移行シグナル配列を付加することで、発現量を約3倍程度に増大することに成功した。 次にヒトゲノムからGRB2遺伝子の5つのエクソンを増幅し、オーバーラップPCRを用いてGRB2のcDNA配列を作製した。さらにフェロモン応答に要するGタンパク質γの膜結合部位を削除した変異体GγcytoとGrb2を融合して(Gγcyto-Grb2)酵母発現用プラスミドに移植した。Gγcyto-Grb2の発現はGFP融合型プラスミドを別途構築し、蛍光強度の測定により確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中にはヒトEGFRおよびGrb2の共発現細胞においてフェロモン応答シグナルの回復が得られなかったが、接合体の選別方法やGFPレポーターの導入などシグナルの出力系の構築は既に完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
酵母細胞内で結合することが確認されているプロテインA由来のZZドメインおよびヒトIgGのFc部位を、それぞれEGFRに融合したZZ-EGFRおよびFc-EGFRを作製することで、EGFRの二量体形成の促進を図る。 またGγcyto-Grb2間にスペーサー配列を導入することで、立体障害の緩和を図るとともに、Gγcytoを十分に細胞膜の近傍へ配置させることで、フェロモン応答シグナルの回復を目指す。
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