2012 Fiscal Year Annual Research Report
火星探査航空機の実現に向けた低レイノルズ数三次元翼特性の解明
Project/Area Number |
23860076
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
安養寺 正之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (70611680)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 火星探査航空機 / 低レイノルズ数 / 三次元翼 / 翼端渦 / 機体の安定性 / 舵効き |
Research Abstract |
本年度は,これまで計測システムの導入を進めてきた惑星環境風洞を用いて,矩形翼,楕円翼,三角翼の三種類の平面形に対して,空力特性のレイノルズ数(Re数)依存性を評価した.Re数5,000~60,000までと,非常に幅広いRe数領域での検証を行ったが,特に二次元翼型ではRe数効果が見られる20,000以下の領域であっても,いずれの平面形でも揚力曲線に対するRe数効果はほとんど見られなかった.この結果,平面形に対して空力特性のRe数依存性は低く,空力特性に支配的な要因は翼型形状であることが分かった.さらに「蛍光油膜法」を適用することで,矩形翼の迎角変化に伴う前縁剥離渦の成長過程や翼端渦との干渉など翼面上の詳細な流体構造を解析した.その結果,二次元翼型で見られた前縁剥離泡は翼端付近ではその形状を大きく崩し,特に前縁翼端付近では翼端渦との干渉による摩擦応力の強い領域を形成することが分かった.今回使用した模型のアスペクト比は4であるが,スパン方向への翼端渦の干渉は非常に大きく,中央部付近でしか二次元性が保てないことが明らかとなった.これらの結果を踏まえ,さらに低アスペクト比では翼端渦同士の干渉による強い三次元構造が予想され,これらの流れ場構造が空力性能にどのような影響を与えるか今後も検証を進めていく.さらに,JAXAで設計された矩形主翼を持つ火星探査飛行機のスケールモデルを用いた全機風洞試験を行い,低Re数領域における機体の静安定性や各舵面の効きなど一連の空力特性を明らかにした.特に舵効きに関しては,当初,機体の縦の制御性が非常に低いという問題があったが,尾翼翼型の揚力の非線形性や翼面上の剥離点と舵面との位置関係が主要因であることを突き止め,適切な尾翼形状を提案・検証することで制御性の大幅な改善に成功し,これまでほとんど明らかになっていない低Re数域の機体の制御性に関する知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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